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ダンジョンにアタック

 はい、えーとはい。そんな訳でダンジョンに来てる訳なんですけれどもね。


「ヒャンヒャン! ヒャンヒャン!!」


 ガブリのテンションが振り切れそうなんだわ。掘るのだけじゃなくて、穴全般好きだもんな、お前。

 そんな彼を見る他の犬達の目が生暖かい。


「イブ」

「ん」


 イブが【詠唱破棄】の練習がてら、無言で【ライトボール】を灯す。

 結構な高難易度のハズなんだがな。【詠唱破棄】。

 魔力制御頑張ってたもんなぁ。

 おっと、つい、父親目線。肉体的には年下のハズなんだが、前世の記憶があると、どうもな。


 それは兎も角、ダンジョンは坑道深くを通ったその先にあった。

 大理石っぽい石造りの壁なんだが、まぁ、割れ落ちていなければ綺麗だったんだろうな、と。

 ダンジョンと言っても、最近のラノベ辺りで見る『生きた迷宮』って感じの物では無く、古代の遺跡って感じの物だな。

 オジサンみたいな古い人間だと、むしろ懐かしいって感じの。いや、今は赤ん坊なんだがね。

 土埃が結構な感じで溜まり、所によっちゃあ、土が堆積してるところを見ると、朽ちた遺跡ってところか?

 荒らされた様子が無いのが幸いっちゃぁ幸いか? 見た所、一獲千金を目指すって場所には成りえないタイプのダンジョンだな。

 これはむしろ国が調査団入れた方が良いんじゃね? 歴史的価値的な意味で。


 まぁ、調査はするけどさ、お仕事だし。

 そう、お仕事なんだよ。冒険者の仕事って二重三重に依頼受けるのオッケーなんな。要は期日を守って成功させれば問題は無いんだと。

 俺が知ってるのは、依頼が失敗した場合は罰則金が必要って事だけだったんだが、前世の仕事の常識のせいで、ダブルブッキングとかNGだって、勝手に思ってたっぽい。


 まぁ、つまり、依頼達成の報告せんでも、次の依頼は受けても良いってこった。

 なんで、こうしてダンジョン探索の依頼を受けてるって訳だな。


「すごい……」


 イブが嘆息する。

 ダンジョンの内部は広く、天井が高い。【ライトボール】に照らされる壁面には、何かの伝説とか伝承を象った壁画が描かれ、柱には緻密な彫刻が施されている。

 素材からして良い石材を使っている事を考えると、結構重要な施設だったのかもしれんな。まぁ、宗教とかミュージアム的な意味でだが。

 興味は尽きないが、俺達が調べんと行けんのは、害ある生き物が生息してないかと罠何かの有無の確認だ。

 なんで、遺跡の中をとりあえず一回りして来ることにした。


「【詠唱破棄】【探査】」


 イブが魔法で調べて、落石何かの危険が無いか確認した後、犬達が散開して好きな様に彼方此方調べまくっている。

 イブの【探査】だと、あんま細かい違和感は分からんからな。

 地点地点で魔法を使うイブはラファに任せて、俺はバラキと一緒にダンジョン内部を探り歩いた。


 ******


 結局、ここがただの“遺跡”で、危険な物やトラップは無いだろうって事で結論を付けた俺は、ダンジョンから出る事にした。のだが……


「もう一度行ってほしい所がある?」

『【肯定】少し記憶に引っかかる場所があります。マスター』


 って事は、ここはファティマの作られた古代文明と何か関係があるって事か?

 まぁ良い。実際に行ってみれば分かるだろう。

 俺は、イブと犬達をいったん集めると、ファティマの言葉にしたがって、再度ダンジョンの中を歩いて行った。


 そして、教会とかの聖堂を思わせる場所、その神像が佇むところまで来ると、ファティマがキイィン! と音を発した。


「何だ?」

『【警告】共鳴が発生しました。おそらく“扉”が開きます』

「扉?」

「トール、さま!!」


 イブの声に顔を上げる。と、思わず瞠目した。

 神像が動き出していたのだ。ガーディアンってヤツか? 恐らくゴーレムの一種だろう。ロボウィザードが作り出してと事を考えれば、古代文明では、そう言った技術がすでに確立されていた事は予想が付く。


 俺はファティマを構え、オファニムにプラーナをつぎ込んだ。

 一瞬でファティマが灼熱化し、オファニムのスリットの赤光が高速で循環を始める。


 神像が両手を胸の前で構える。その手と手の間の空間がゆがんだかと思うと、何もなかった空間に、『黒い穴』としか思えない物が出現した。


『【驚愕】あ、あれは!!』

「知っているのか! ファティマ!!」

『【肯定】あれが“扉”です。マスター』

「ああ、あれが」


 そう言えば、最初っから扉が開くとか言ってたもんな。

 ファティマとの共鳴で扉が開くって事は、やっぱりファティマ達と関係のある施設なんかね?

 だがしかし、まさか巨大な神像が自動ドア扱いされてるとは、このトールの目をもってしても見抜けなかったわ!!

 しかし、“扉”ね、これどうすっかね?

 見ると、イブも(ミカ)達も俺の方に視線をよこしている。このまま突入しても良い気もするが……


 ******


 数日後、俺たちの姿は再び神像の前にあった。ただし、この前のメンバーに加え、聖武器達とゴドウィン候と、その精鋭兵も一緒にだ。


「ほう!! 成程。これが“扉”ですか」

「空間同士をつなげる次元孔(ワームホール)だな」

「これは、この老骨、柄にもなくワクワクしてきましたな!」


 年を考えてくれゴドウィン候。

 だが、まぁ、俺も少し気が昂ってるがね。

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