色々考えなきゃいけない事が増えてるわ
俺が紹介した後、両王女はお互いに笑みを浮かべながら挨拶をし合って、そのまま黙って俺の後を着いて来ている。そう、黙ったまま。王女同士でキャッキャウフフと成るとまでは思っちゃ居なかったが、何なの? この沈黙は。
『【苦笑】お互いの素性が分かった所で、国力としては聖王国の方が上な訳ですから、脳筋王女は、下手な言動で国がさらに不利に成ってし舞う事を警戒して、下手に話題を出す事は出来ないでしょう。そもそも、彼女は自身の得意な話題がマイノリティーな自覚はあるでしょうし』
まぁ、武者修行をやる様な王女なんざ早々居ないだろうしな。ヘンリエッタ王女の方はバリバリの宗教国家の人間らしく、【神託】預かってみたり、その教えに忠実な位には信心深そうだし、武術の話題出されても困るだろうし。
いや、信心深いからと言って武術がダメって事は無いだろうけど、そんな事言ったら聖騎士なんざ存在できんって事に成る訳だし。
そうは言っても、ヘンリエッタ王女については、間違いなく武術とかには興味無さそうだからなぁ。なんて言うか、そう言う人間特有のオーラが無いんだわ。
そう言う意味ではマリエルの方が聖近衛騎士副団長だけあって、その辺りの雰囲気は有るんよね。
「あれ? そう言えばマリエルさんは近衛副団長なんだっけ?」
「そうだが? 確かに貴様に比べれば弱いかもしれんが、これでも女近衛騎士の中では1、2を争う腕前ではあるのだぞ!! この様な屈辱!! クッ殺せ!!」
死ぬなや。いや、確認しただけで、別に含む所が有る訳じゃ無いんだがな。ちょっと自分の思い込みってヤツに思う所が出来たってだけの話で。
いやね? 第13王女って所で引っ掛かったんだけんどもさ、これってある意味では序列ではあるけど、決してその能力の高さを担保してるってぇ訳じゃ無いんだよなぁってさ。何せヘンリエッタ王女、副団長さんが付く位には重要人物だって事なんだもんなぁって思ったんよ。
むしろ、今、こうやって二人で国外に出てるって事が信じられないって思う位には。
「仕方ありません。トール様やラミアー様に比べれば、わたくし達など、路傍の石のような存在なのですから。わたくしも【神託】を預かれる程度には神の寵愛を得ていると自惚れて居ましたが、まさか、名指して頼られたり、全身に神の色を纏っている方が居られるなんて……」
いや、何でいきなりネガティブに成ってるんよ。さっきまで普通だったじゃねぇか。
てかそう言やそうなんだよな。何でいきなり光教会の神は、俺を名指ししたんだか。てか、俺、神に存在を認識されてるんな。
あれか? やっぱり白子って事で、禁色を纏ってるからって感じで気にされてたんかね?
まぁ、気にしてた所で、ハッキリ理由とかは分からないんだけんどもよ。
まぁそれこそ、“神のみぞ知る”って事なんだろうけどさ。




