良いからはよ
上手く纏まらず、遅くなってしまいました。
申し訳ない。
「マール、この方は、大丈夫だと思います」
「し、しかし」
フードの少女が、マリエルとやらに、そう声を掛けた。まぁ、声を掛けられた本人は少々困惑気味だがね。理解は出来る。ついさっきまで、狙われてた訳だし、出会ってすぐの人間を信用できないってのは。
むしろ、このフードの少女が、何で、そう言い出したのかの方が分からないっちゃ分からないよね。あぁ、いや、もしかして、ネフェル王女の顔を知ってるとか? 聖近衛騎士が一緒に居るって事は、この娘さんがそうだって事だよね? 何せ、聖近衛騎士は王族を護る存在らしいし。
だとすれば、国同士がそれ程離れてるって感じでもないし、どこかで顔を合わせてるってぇ可能性もワンチャン。
その関係上、一緒に居る俺達の事も信用できると判断した……とか?
とか思ってたら、フードの少女が、俺の方をジッと見た後、更に指を差した。
「この方からは、“善き感じ”がします」
おおう、もっとスピリチュアルな感じの判断だったよ。何だよ“善き感じ”て。てか、俺の事を指してかよ。
むしろ俺の方が困惑するわ。
ただし、そんな俺の困惑とは別に、マリエルの方は目を見開いて、フードの少女の方を見る。
「そう、なのですか?」
てか、そっちも、この物言いで納得できるの!? てか、やっぱり聖王国の人間ともなれば、そう言った判断が出来るのか?
『【納得】成程、この小娘は、マイマスターの偉大なオーラを感じ取ったのですね』
“善き感じ”って言ってるだろうがよ! そもそも『偉大なオーラ』て何なんよ!! 俺、ただの辺境伯よ? 偉大とか無ぇからな? 後、今は【念話】だから構わんが、口に出すなら小娘は止めれ。多分不敬罪に成るから。
『【失笑】私に“口”は有りませんよ? マイマスター』
慣用句にツッコミ入れるなや。そう言うこっちゃねぇから。てか分かって言ってるだろう? おまいは。
『【了承】イエス、マイマスター』
……あれだな、メンタルもバージョンアップしてきてる感じか? 太々しさが追加されてる気がするわ。前みたいに無暗にトラウマ発動しないってのは、良い事だとは思うが……良い事だよな?
まぁ、良いか。そんな事より、マリエルは、フードの少女の言葉で眉間に皺を寄せていたが、不承不承と言った感じに、溜め息混じりではあるが、頷いた。
「ヘンリエッタ様がそうおっしゃられるなら……」
こう、感情を露わにするって、王族の護衛としてどうなんじゃろね? まぁ、無表情でイエスマンってよりかは良いって気もするが。
てか、話が纏まったなら、事情を話して貰いたいんだがね。人を待たせてるし。いや、直ぐそこで何か言いたそうにウズウズしてるネフェル王女の事ではなく、キャンピングカーの方に居るイブとかティネッツエちゃんとか、保護した子達とか。上空大気中のラミアーとかセフィとか。
山賊や盗賊? 罪を犯した分きつい体勢で待ってれば良いんじゃないかな?
う~ん。もう一回説明求めた方が良いかね? 何か二人の世界に入ってるだけで、動きそうもないし。




