結論から言うと
まぁ、結論から言うけんどもよ。
「準備運動にも成りゃせんかったわ」
「アオン」
「ワフン」
「ワン?」
「ワオン」
『【嘆息】まぁ、最初から腰が引けていましたから』
要は荒事に向いてる人選ってだけで、特に鍛えてたってぇ訳じゃ無かったってぇ事なんだろうさね。
本当に向かって来るだけ、人が群がっていない場所から突っ込んで来るだけ。いや、普通に腕っぷしは強いとは思うが、ただそれだけってぇ感じ。
そもそも、これだけ人数いて連携すら取らねぇって、どう言う事よ。
まぁ、悪党の中にも色々“格の違い”ってヤツが有るってぇ事だろうけどさ。
「で? 襲って来たんだ。言い訳なんざ通用すると思うなよ?」
「ひっ!」
ちょっと【威圧】を込めて睨んでやると、オッサンは腰を抜かしたのか、ペタリと座り込んだ後、上半身は逃げようと藻掻くものの、足腰が全く役に立たない様に座り込んだままの状態で動かない様だった。
襲ってきてるってぇ状況を見れば、このオッサンが碌でもない商売をしているのは確実で、態々、俺達の方に投げつけたナイフに麻痺毒が塗られてた事を合わせて考えると、恐らくは俺の想像している様な事をやらかしているんだろう。
って言うか、盗賊に襲われた直後だってぇのに、俺達を捕まえようとか、良く思えたもんだわ。
そう言や、このオッサンの名前も聞いてねぇじゃん。まぁ、どうでも良いが。
「トール、様、やっぱ、り、乗せられて、た」
「ああ、そっちも予想通りかよ」
オッサンの荷馬車の中には、年の頃12~14位の少女達が乗せられていた。まぁ、想像していた通りの奴隷商人だったってぇ事だ。
奴隷商人自体は、実際、非合法って訳じゃぁ無い。俺は認めんがね。俺の領地では奴隷の売買はさせませんよ、と。
ただ、このオッサンは非合法だろうけどね。で、なければ、俺達を捕まえようなんてアクションはしないだろうさ。
奴隷にされていた少女達は、あまり良い扱いはされて無かったらしく、助けられたと分かった後、皆が皆、ワンワンと泣き出してしまった。
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準備を整え、ようやっと出発。盗賊に奴隷商人達と、奴隷にされてた少女達。流石に人数が増え過ぎなので、奴隷商の使っていた馬車を接収する事にしたんよ。
当然だが、少女達が乗せられて居た馬車は、そのまま盗賊と奴隷商一行を詰め込んだ。そして逆に奴隷商の乗っていた馬車を少女達へ。
当然だが、持って居たキャンピングカーの予備部品で、足周りの改造はちゃっちゃと終わらせた。
盗賊と奴隷商達は港町で衛兵に突き出す予定。少女達も、同じく港町までは同行するが、そこでエクスシーア商会の人間と合流して、彼らに任せるつもりだ。流石にその状態のまま聖王国まで行けませんて。
元々、船の手配やら何やらで、商会の人間と打ち合わせするつもりだったんで、そのついでではあるが。
てか、まだ、港町にまでたどり着けてないのに、何? このイベントの多さは。




