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さあ、出発だ

 取り敢えず、ネフェル王女と今後も関わり合って行くって言う覚悟はできた。

 普通なら、ここまで慎重すぎるほど慎重に心構えとかはしないんだが、言うても他国の王女様だしなぁ。

 辺境伯との個人的な友誼ってものが、彼女の今後に、どれ程の影響を与えるのかが未知数な以上、慎重に成らざるをえんのよ。

 それでなくても王女様が他国の異性の貴族ん所に弟子入りとか、貞節的な意味でも醜聞(スキャンダル)に成りかねんのだし。


 え? 隣国の女王? あれは、まぁ、巻き込まれた上になし崩し感が強いからなぁ。

 そもそもエリスの周囲は強個性の連中ばっかりな癖に、本人も、それに負けない位に強個性(ユニーク)だから。

 あれなんよ、安定感があると言うか何と言うか。信頼してますともさ! ある意味!!


 ******


「これは、どうにか成らん……いえ、成りませんでしょうか?」

「成らんな」


 まぁ、なんやかんやあっての聖王国への出発当日。ルティシア嬢の方には定期連絡がてらの手紙で『遊びに行くよ』って事は伝えてある。当然だけど馬鹿騎士がらみのあれやこれやもなぁ。


 屋敷の前には何時もの旅支度。ケルブに繋いだキャンピングカー。コイツもさらなる改装済みで、可変機構をコンパクトに、そして居住スペースを更に増やしてある。まぁ、今まででも充分居住スペースは確保できては居たんだが、長旅って事も有って、ゆったりできるんならその方が良いからな。当然だが足回りも更に改良済み。

 ドワーフ連中の鍛冶レベルが上がったって事も有って、部品の精度もさらに上がったって事で、板バネ仕様だったダンパーをオフロード仕様のオイルダンパーへ変更してある。ダンパー内のオイルは、今回ヴィヴィアンの見つけて来た、椿みたいな木から採れるオイルを使用している。


 ……いや、ヴィヴィアン、トロール探しに行ったんじゃ無かったんかよ。


 ついでに御者席にはダミー人形を置いてある。何か俺も一緒に車内でゆっくりして貰いたいからって事らしい。今までは、動かしてる時、俺がずっと御者席に居たからなぁ。

 そもそも、キャンピングカーを牽いてるのがケルブな以上、御者する必要って無かったんだけど、例えゴーレムが牽く馬車だったとしても御者が居ないってのは不自然だったからなぁ。そもそも、自由意思で判断できるゴーレムってのがイレギュラーな訳だし。

 いや、ケルブ、ゴーレム風であって、実際は自動人形に近い存在なんだけんども。


 で、キャンピングカーの後方には、追加でトレーラーを二つ。


 一つはネフェル王女と、そのお付きの侍女さんの為の車両で、もう一つが馬鹿騎士の為の貴族牢。たださ、本来であれば罪人だって事を示す為に、鉄格子のみでさらし者にするんだろうけど、俺はこんな、何処に出しても恥ずかしいレベルの馬鹿騎士を連れ回すなんて言う羞恥プレイなんざしたくないぞ、と。


 その代わり、馬鹿騎士の車両は窓なしフローリング四畳半の煎餅布団と風呂なし一応のトイレ付。何と贅沢な事に照明も付いている。ただし消灯の為のスイッチは無い。引きこもりニートにはある意味夢の様な空間ではある。

 ただ、一切の娯楽もないけど。

 『どうにか成りませんか』とかふざけた事言って来たけど、コイツ、早くも自分が犯罪者だって事忘れてるんじゃねぇかな?

 取り敢えず、旅の間、自身の罪と向き合っときなさいな。


 王女と侍女さんの車両もワンルームタイプで、簡易キッチン付き。流石に風呂は無いけどシャワーは付属している。

 俺の方のキャンピングカーを簡易タイプにしてある作りで、屋根部分を上げればベッドスペースに成る仕様。

 侍女さん達は、王女と一緒のベッドは恐れ多いだろうから、通常ソファーに成っている部分がベッドへと変更出来る様にしてある。


 まぁ、若干一名、自分の立場を認識できていない輩が文句を言ってるけど、聖王国へ向けて、出発である。

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