聖王国に行くことにした。ついでに小国群
「おおおおおおおおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉ……」
アレだね、怨嗟の呻き声と共にあると、亡霊の様じゃんね。惜しむらくは髪の長さがもっと長ければってぇ所かな?
いや、何の話かと言えば、あれだよ、馬鹿騎士の事だよ。あの後ね、ルールールー経由で国王陛下にお伺いを立てたんよ。『ちょっくら迷惑かけた国にお礼して来る』ってさ。
したら、そのお返事が『良きに計らえ』ってぇ事だったからなぁ? ほんじゃまってぇ事で、聖王国のルティシア嬢ん所に行くついでに、馬鹿騎士護送しとこうかな? って。
一応建前上……だけじゃなくて不法入国者なんで、見せしめがてら、前髪全部、剃ったったんよ。頭頂部とつなげる様に。あれだ、波〇さんヘア。いや、頭頂部には髪残ってないけど。
いやぁ、これで髪が長かったら、落ち武者とか言えたんだが……残念だ。しかしあれだ、聖王国まで、正規ルートで行くと3ヶ月程かかるから、ちょっとは近付くかも知れんね。落ち武者に。
で、波〇さんヘアにした途端に、深い溜め息と共に怨嗟の呻き声を上げる様に成ったんよね。あれだ、割と平気そうに見えてたけど、結構なトラウマに成ってたんな頭頂部が。同じ男としては気持ちはわかる。正直悪かったとは思う。だが、俺は謝らない。だって、喧嘩売ってきたの向こうですしおすし。
『【嘲笑】マイマスターに喧嘩を売ってこの程度で済んでいる幸運を噛みしめると良いと思います』
辛辣ですね聖斧さん。いや、せっかく見逃してやったのに、のこのこ戻って来たんだから、それは罰して欲しいと言う、言外の主張だよね。ならば、その意を汲んでやるのも貴族としての責務だと思うの。
それはそれとして、執務もひと段落ついたって事で、聖王国へGOな訳だ。
ただなぁ。
「ワンワン!!」
「アン? アオン!!」
「ワオン!」
「ワン!」
もはや固定されたと言って良いミカ、バラキ、ウリ、ラファの4頭。
「一緒、に、行く、よ?」
「わ、わたしもお供します!!」
フンスと鼻息を荒くしてるイブとティネッツエちゃんも良いんだ。何の問題もない。
『【当然】私も同行いたします』
「それは、こっちからもお願いしたいからね、むしろ」
俺のメインウエポンだし。逆に来て貰わんと困るんだわ。
「行く」
『ゆくよぉ』
……セフィは百歩譲って構わないと思うんだ。けど、ラミアーはなぁ。
「行く」
これから俺達が向かおうとしてる聖王国は、光教会の御膝元と言って良い国だ。その位、光教会の権力も影響力も強い。
そんな国に、宗教的“禁色”である『白』を全身に纏ったラミアーを連れて行くって成ると、厄介事と面倒事とトラブルが待ってる未来しか目に浮かばねぇんよね。
「行く」
……まぁ、ラミアー置いて行ったとしても、付いて来そうだし……
「行く」
何か有ったら、その都度対処して行けば良いか。
「うん」
これに、キャンピングカーを牽くケルブと、俺のメインアーマーでもあるオファニム。
そして、護送及び強制送還って事に成る馬鹿騎士で、一路、聖王国って事に成る訳だな。いや、馬鹿騎士は、その上で小国群まで引っ立てる訳だけど。
「私も行きます師匠!!」
……いや、何で?




