約束は守りたい系辺境伯です
「何なのでしょうね? この男は」
ネフェル王女の言葉に、イブとティネッツエちゃんがコクコクと頷く。
「ウボロボロボロボロボロボロボロボロボロボロボロッ!!!!」
ラミアーとセフィは、すでに興味を失ったかの様に大アクビをかましてるが、ミカとバラキは楽しそうに、ヘッドスピンをし続ける馬鹿騎士の周りをヒャンヒャンと楽しそうに跳ね周っている。
『【嘆息】脳のメモリが著しく足りていないのだと愚考しますマイマスター』
……マイマスター呼びが馴れんな。てか、もしかして、ジャンヌも戻ってきたらマイオーナーとか言い出すのかね? う~ん、マイマスターなら兎も角、マイオーナー呼びってのはどうなんじゃろか?
いや、マイマスターって呼び方も大概だと思うんじゃが、マイオーナーって呼び方よりは、まだ、ね。
「ウボロボロボロボロボロボロボロボロボロボロボロッ!!!!」
そんな事を考えてる内にヘッドスピンの威力が落ちて来たんで、【エクステンド】を鞭の様にしなわせてさらなる回転力を追加する。
知ってた? 人間が回転するだけの勢いでも、手足って遠心力で外に引っ張られて、自力で動かす事が困難に成るんよ。
つまり馬鹿騎士、正しく手も足も出ない。その上、回転している為に、ジャイロ効果で倒れる事も出来ないって言うね。
手足や頭に血が上るけど、【エクステンド】で適宜回転を加えつつも【プラーナ】も流してやってるから、下手に身体能力が向上されっちまってるんで、気絶も出来んだろうさ。
元々無理筋だったし、俺って存在がどう言う地位の人間か分かられてる状態で、他国の……準貴族って事に成るのか? 一応、地位的にはその国の王様に認められてるんだし。まぁ、そんな存在に危害を加えると、色々と面倒そうだったんで、最低限の手出しに留めておいたけど、俺は有言実行系辺境伯なんで、約束通り無限ヘッドスピンをして貰ってるってぇ訳だ。
「ウボロボロボロボロボロボロボロボロボロボロボロッ!!!!」
いや、まぁ、あの状態でこの男が俺の話を聞いてたかどうかは分からんし、聴こえてなかった可能性の方が高いとは思っているが、吐いた唾は呑まない主義なんでなぁ?
まぁ、思っていた通り、頭頂がツルッツルだと、良く回転するやね。
「ウボロボロボロボロボロボロボロボロボロボロボロッ!!!!」
そしてやはり、死んでしまった物は【プラーナ】と言えども復活はさせられんのだと証明してしまった様だわ。髪は長ぁい友達と書いたんだがねぇ。前世ではだけどもさぁ。
いやはや、こうなると儚いやぁね。何とは言わんが。
「ウボロボロボロボロボロボロボロボロボロボロボロッ!!!!」
まぁ、後4時間ほどで解放はしてやるさね。俺も暇じゃぁ無いんでな。その後は留置場放置からの取り調べかなぁ。
一応、無断入国な訳だし。追放した時にそのまま帰ってたら、お目こぼししようとか考えてたんだがね。色々と面倒臭い事に成りそうだし、馬鹿騎士に手間暇かけるのも嫌だったし。
ただまぁこう成ったら、最後まできっちりやらせて貰おうかねぇ。
執務もひと段落ついた所だし、ルティシア嬢に顔見せがてら、聖王国まで足を伸ばすのも悪くは無いか? ついでに馬鹿騎士小国群に放り投げて来られるし。




