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実力があるからって悩みが無い訳じゃない

 聖武器達は、彼女等の中での序列ってやつが存在してるらしいんだが、その中で聖槍は、万年3位だったそうで、見た感じ、その事がコンプレックスになってる様に感じた。


 同じ馬車に乗り込んだ、聖剣以外の聖武器、聖斧(ファティマ)聖槍(ロボウィザード)聖弓(ロボセイント)を見る。

 いや、ホントに感情豊か過ぎねえ? 武器だろおまいら。


 聖武器を創った古代人は何を考えてこんな自意識にしたんだか。ただ、『人類統一の為の旗頭』と言う目標を与えていたと言う事は、その当時も様々な主義主張が乱立して居たんだろうと言う事は想像できる。

 序列を作っていたのも、最終的に偶像(アイドル)を一人に絞り込む為だろう。

 ……何故だろう、何か作ったの日本人臭かないか?

 これで、歌って踊れる機能が付いてんなら確定っポイぞ、と。


 古代文明のその辺りの事に関しては、もう一回、旅の間の暇つぶし的な雑談としてじゃなく、キッチリと聞いときたい所だな。


 第一、旗頭と成るのが“武器”って時点で、色々ときな臭く感じるの】は、俺の前世が平和な国だったからかね。


「……物の在り様や意味なんて、時代で変わるんだから、気にし過ぎっと禿げるぞ?」

『【否定】禿げないデス! 使われてこそが武器の本懐デス!! だから個体名【トール】がボクを使うと良いデス!!!!』

『【却下】マスターは私のマスターですので』

『【通説】嫉妬深い女は鬱陶しがられると【ライブラリ】にも記録があるデス』

『【参照】武器換え(うわき)は文化だと言う記述も見ましたわ おそらく当時は頻繁に武器を変えていたのかと』

「なに? 本当か? なら、拠点を変えるくらいなら許容範囲だと思うのじゃが?」


 俺を見るなファティマ。てか、嫉妬深いなんて自覚が有るんか?

 そしてエリス、それは別問題だ。

 あと……


「その【ライブラリ】、下世話すぎるから今後閲覧禁止な」

『『『【愕然】え!?』』』


 おまいら……


 ******


 二つの【ファイアボール】が、襲って来たゴブリンの群れを消滅させる。イブとロボウィザードの魔法だ。

 いや、魔物が出て来たんだから対処すんのは当然だけんどもよ。俺、ここに居る意味あんのか?

 普通の護衛ってなんよ!!


 イブにしろロボウィザードにしろ、馬車も止めずに、窓からタクトと杖を向けて瞬殺でしたわ。ほら、犬達も困惑してるじゃねぇか。


 ただ、あのゴブリン共、襲って来たと言うより、逃げて来てた様な動きじゃなかったか?

 よく見る魔物があり得ない群れを成して出て来る……テンプレ的展開かな? あー、やっぱフラグ踏んじゃったんかね?


 そんな風に俺が思っていると、ドスドスと言う地響きが聞こえ、地面が揺れ始める。

 そして、出て来た魔物を見た俺は、一瞬視線を遠くした。


 鹿……かな? なんか角がうにょうにょ動いてるけど。


「馬鹿ななのじゃ!! こんな所にケンタウロスが現れるじゃと!!」


 そう来たか。


 じゃ、あの角? 触手? が、武器持ってるように見えるのも気のせいじゃ無いんだな。

 ケンタウロスは、まるで水牛を思わせる太ましい角に、盾やら槍やらを持ち、こちらに突っ込んで来ていた。

 てか、ケンタウロス、亜人じゃないんだな。


「……武器を持てる文化がある相手なら、対話とかできんのかね?」

「オヌシ様、ゴブリンも群れを作るし棍棒を使うが、対話なんぞ出来んのじゃ」


 ああ、そう言えばそうだったな、てか、オークやオーガもこん棒使ってたわ。

 てか、魔物の主武装こん棒率高すぎだわ。

 そう言えば、聖武器に棍棒とか入れる予定は無かったんかね?


 とか、考えてるのがいけなかったのか、ケンタウロス、ロボウィザードの【ファイアランス】で瞬殺されてたわ。

 流石は古代文明の遺産たる聖武器。序列3位とは言え、攻撃力半端ないね。

 いや、ホント、俺の存在意義は?

 護衛の仕事ってなんじゃろ?


「……結構な攻撃力だし、敵を倒すのにゃ、問題無いんじゃね?」

『【否定】ボクは槍として作られた聖武器なのデス、魔法攻撃で撃退するのは、言わば副武装だけを使い続けている様な物なのデス ボクは槍として使って貰いたいのデス』


 なんか良く分からんが、本意では無いのだろう。

 てか、それが分かって、何で、武器換えを俺に薦めてくるんだ?


 いや、『使って欲しい』ってのが根本に有るんだろう。だからこそ魔法って攻撃手段はあっても、それは彼女の持つ“能力”ってだけで、聖槍が武器として優秀かと言う事とは少し違っている。


 要は、槍としての矜持と言う話なんだろうさね。


 まぁ、それはともかく、そう思ってんのなら、ゴドウィン候と話し合うのが一番の近道だと思うんだがな。

 ゴドウィン候がやはり槍だと使い辛いとかって言うのなら、それこそ、使い手を変えるって選択肢だって有り得るだろう。なので、そう伝えてみる。

 彼女は、少し考える素振りを見せた後、『【理解】話してみるデス』と言った。


 そもそも、どう言う経緯(いきさつ)でゴドウィン候が使用する事になったのか分からんので、それ以上のアドバイスも出来ないしな。

 別にファティマの時みたいに選択の余地がないって訳じゃないんだから、使い手を変えるってのも手ではあると思う。


 いや、そう思ったからこその俺なんだろうがさ。

 だとしても、使い慣れた武器以外ってのはね。どうも……


 その辺は各個人で考え方が変わってくる部分ではある。冒険者の中でも次々に武器を変える者も居るし、気に入った武器を修繕しつつ大切に使っている者も当然居る。どちらも正解だし間違ってはいない。


 しっかし、何で幼児の俺が、何百年も生きてる聖武器の人生相談を受けなきゃなんねえんだろうな?

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