それじゃぁ放逐
例えどんな能力があろうと、死したものを蘇らせることは出来ない。それがこの世の理だからだ。だからこそ、その摂理から解き放たれたモノに憧れ、それに反する物を嫌悪するのだろう。
それはそれとして、『ザ~ビ~エ~ル~』何を言っているのか分からないだろうが、『ザ~ビ~エ~ル~』眼の前で気絶し倒れているリックを見て、俺の脳内には、そんな言葉が浮かんだ。
「この程度で気絶するとは、国主家臣ともあろう者が情けない」
『【苦笑】情けないと言いますか、情け容赦無いと言いますか、流石はマイマスター!!』
ファティマの言葉にイブやラミアー&セフィ達もコクコクと頷いて居るが、俺はちゃんとこれからやると予告したぞな?
ならば勝手にこっちを見下して、油断したリックが悪い。
最も、これでさらにゴチャゴチャ言う様なら、次は強制ブレイクダンスをしてもらおう。
きっと、ヘッドスピンとかキレイに決めてくれる事だろう。
もっとも、決まらなくても、決まるまでやらせるが。
結局、今の所、馬鹿騎士が何でこんな所まで来てるのかってのは不明なんよね。自分が仕える上級騎士に対する助力の願いにしては傍若無人が過ぎる気がするしなぁ。
『【思案】しかし、街の人間に対しては、居丈高であっても不条理を言ったりはしてない様です』
「流石に街の一般市民に手ぇだしてたら、この程度じゃ済ませはせんよ」
それは兎も角、せっかく気絶させたんだから、この街から追放って事で。そもそも不法入国だし。
「てか、何でファティマは、コイツ放置してたんだ?」
『【嘆息】私に出来る事と言えば、簀巻きにして放置する事くらいでしょうが、多分その程度では諦める事は無かったかと』
まぁ、無駄にバイタリティーは有ったからなぁ。どうにかして、この領地までは来てただろうな。そもそもの目的が俺みたいだったし。
ただ、俺と会った上で、何がしたかったのかは未だに不明なんよね。
「まぁ、考えても分からん事は考えないとして、気絶してる内にどっかに捨てて来んとな」
取り敢えず、街道だと邪魔だし、下手に森の中だと魔物に襲われるからなぁ。俺に喧嘩売って来てる様な有様だとは言え、別に死なすって程の罪に成る訳じゃぁない。
あれだな、近隣の付き合いのある領主の所に置いて来るか。置いて来た場所の領主さんには、『放置で良いから』と言伝を頼んで。




