彼女は行った
『【再会】直ぐに戻って来るのデェス!!』と言う言葉を残して聖槍は旅立って行った。
本人的にも、俺がランスと言うものを扱いきれていないってのは理解出来てたんで、まだ時期尚早かとも思っていたらしいんだが、それでも、流石にバージョンアップ後のファティマの姿を見て、色々と危機感を募らせたらしい。
……戦斧でメイドで棒術使いと馬上槍で魔法使いで魔術師って、完全に前衛と後衛で分かれてるってのに、何がそんなに危機感を煽られたのか。ちょっと分からないんだが、それでも本人的にも、なるべく早く帰る心算では居るらしい。
いや、聖斧が遅くなった理由が、俺がパワーアップを次々に行い過ぎて、その為のバージョンアップが追いつかなかったからと、そのバージョンアップを短期間に行い過ぎた為に、知識と身体にズレが生じたんで、ソレの解消の為に、武者修行をせざるを得なかったってぇ事な訳だから、まぁ、ファティマよりかは早く帰って来れるだろう。多分。
因みに、俺がパワーアップイベントをこなしてるってのは、【魂の絆】で繋がってる関係上、直ぐに分かってたらしい。
いや、そう言えば、お互いの見たもの聞いたものとかも、映像付きで分かるんだったか。あれ? 俺は送って貰わんと分からないのに、ファティマ達の方は分かるんだ? ソレ。
『【説明】私達は、普段、そう言った物は制御して送らない様にしていますので』
え? って、こたぁ、俺普段、そう言った思考を垂れ流しにしてるって事? うわぁこれは恥ずかしい。
いや、ファティマ達に思考が駄々洩れだって事は、別に恥ずかしいとは思ってない。そう言った物を制御する手段が有るってのに、全くその事に考えが及んでなかったって事の方にだ。
そう言えば、ファティマにしろジャンヌにしろ俺の方の思考は読んでるけど、彼女達自身は【念話】で話す以上の事はしてなかったな。
つまりは、思考を駄々洩れにせず、必要な時に発してたってぇ事な訳だろ?
にも拘らず、その時点でファティマ達が精神を制御してたってぇ事であり、その答えに単独で辿り着け無かったってのが、もうね。




