魔法とか魔術とか
「身体強化系の魔法ってあるんだよね?」
そもそも俺がパッシブでバフが掛かってる様な状態な訳だ。いや、ON、OFFの切り替えが出来る様にはしてるが。
そう言えばと、バフに関しては誰かが使っているのを見た様な覚えも有ったんで、ジャンヌに聞いてみた。
『【肯定】ある意味、支援魔術の基本デス』
あぁ、やっぱりあるよねぇ。うん。ネフェル王女の事でちょっとね。話を聞いた時には、剣の修行だからって事で、技術的な部分での向上を考えてた訳なんだけど、実戦って面で考えれば、実際の戦闘時に“使える”技術なり何なりって、必要な訳じゃん。
それを考えれば、現状、王女に足りてない部分を補うって意味でも、そう言った部分も教えといた方が良いのかな? と。
いや、まぁ、俺だと魔法やら魔術に関しては分からんのだがさ。そう言えば、ジャンヌ辺りはその辺使い分けて言葉を選択してるみたいだけど、俺はあんまり違いが分からんから、その辺適当に使ってるんよね。やっぱ、こだわりのある人間からすると、その辺り誤用してるとモヤるんだろうなぁ。
イブが魔法使いなんだし、その辺、俺もきちんと勉強しておいた方が良いのか? 良いんだろうなぁ。可笑しいな、昔はあんなに魔法使う事に情熱を傾けてた筈なのに……
何時から忘れた。若き日の情熱!!
『【苦笑】オーナーまだ7才じゃ……』
いや、10年ひと昔と言うだろう?
『【困惑】それを言ってしまうと、まだ10年経って無いのデス』
そう言や、そうだったわ。いや、魔法回路がね? 俺、結局作れんかったんよ。いや、形作る事は出来たねんで? けどさ、そもそも俺、【魔力】を持ってないじゃん? 魔法を発動する為にも、魔法回路の維持の為にも【魔力】が必須じゃん? うん。根本的な所で無理だった。無理だったんだよ……
『【嘆息】すごく簡単に言えば魔法を使う事をメインにする職業が魔法使いデス。そして、その魔法を系統立てて分類、整理をして使い易くした物が魔術で、それらを行いさらに発展させてる者が魔術師デス』
あぁ、そう言う感じなんね。
「ってぇ事は、魔術師の事を魔法使いだって言っても間違いじゃぁ無いのか」
『【肯定】ただ、魔術師は、“魔術”を“魔法”と言われるのは嫌がる傾向が有るデス』
まぁ、そうだろうな、態々、系統立てて整理して、そこから発展までさせたモノを元々の物とは言え、言わば未分類の物と一緒にされる訳だし。
俺だって、前世では第三者にオタクと言われる程度にはサブカルチャーに親しんでた訳だけど、それでも何でもかんでも一緒くたにされるのには抵抗はあったし。
特に偏見の多かった時代だと、俺はメカ特撮系が好きだったにも拘らず、同級生に『オタクなんだから、このアイドルの写真集とか持ってるだろう? 今度貸せよ!』とか言われて『持って無いよ』とか言うと、『使えねぇヤツだな』とか逆ギレされると言う理不尽に合ったりしたしなぁ。
『【思案】でも、個体名【イブ】は、別に魔法使いだとか魔術師だとかにこだわりは無いデス』
「そうなの?」
『【肯定】分類でいえば魔術師だとは思うデス。けど、本人は兎に角、“高火力至上主義”で、それ以外にはこだわりは無いのデス』
マジか。




