胡散臭いヤツラ
予想はしてたから、【緑風の調べ】の連中に先回りして依頼を出しておいたんよ。『ヴィヴィアン暴走すると思うんで、護衛おけ?』って。
ヴィヴィアン薬効の事になると、周りが見えなくなるからなぁ。
なんで、【緑風の調べ】の連中には『ヴィヴィアンを護衛して、出来ればトロルとの遭遇は避けて貰えるか? どうしてもって時以外ではな』ってな。
本当なら、俺が付き添えれば良かったんだが、多少の余裕が有るって言っても、トロル探して狩る程の暇は無かったよ。それに、あいつ等なら、人格的にも実力的にも信頼出来るしな。
で、何で『どうしてもって時以外』かと言えば、まぁ、その方が時間が稼げるからだ。姑息だとは自分でも分かってるが、相応に忙しくしてる時に厄介事持ち込まれたら、普通に殺意が湧くからね?
これでも、ヴィヴィアンには色々と助けて貰ったりしてるから、後味の悪い結末だけにはしたくないのだよ。こっちも悪魔では無いのでね?
まぁ、ヴィヴィアンの事は【緑風の調べ】に任せて、事務処理を進めっちまおう。
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厄介な所を後回しにして、出来る処理を進める。まぁ、無理なくやるよぉ。ブラックいくない。
え? マトスン? まぁ、アレは新しい技術渡しとけば、それを研究してる間は他の事に手を付けないから。
紙飛行機なら、紙が有れば良いしなぁ。ちょっと前なら紙だって高級品だったんだけども、安い紙を大量生産できる体制整えたから、少なくとも俺の領地では安価に手に入れる事が出来るんで、特に印刷に失敗した紙なら、好きなだけ使える様にしてるしなぁ。
もっとも、普通に使える方の紙使い出したらSEKKANだけどなぁ?
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今の所、不穏当な影ってか、そう言った噂やら何やらってのは見つかってない。バフォメットの言っていた“胡散臭い連中”って輩については、特徴を聞き出して、一応コボルト情報部隊に監視はして貰っている。
途中報告だけ聞いてると、集まって何かをしているって風ではないらしいんだが、どうも、それぞれでの接触はしているらしい。
ただ、街へは正当な手段で入って来てるって事も有って、手を出すって訳にも行かないんがね。確かに、何か問題を起こしているって訳じゃない。ただし、本当に、何もしてないってのがね。
そう、バフォメットの言う胡散臭いって言われた連中、冒険者だったり商人だったりと身分は様々だが、誰一人として、何の活動もしていないらしいんよね。
冒険者なら、ギルドでの依頼とか、商人なら、物品の販売だったり仕入れだったりっとかさぁ。そう言った“普通の”活動すらしていないらしい。
かと言って、宿に引き籠ってるってぇ訳でもなく、むしろ街の中をウロウロしているらしい。
……どう考えても、家の領地の街について探ってるって感じだよね。
ただ、それ以外の事はしてないから、どうするか決めあぐねるんよね。
これで、俺が悪徳領主だったなら、証拠固めなんぞしないで、感情でしょっ引いてる所だわ。




