張り詰めた風船はすぐ割れるからね
またちょっと落ちてました。
遅くなって申し訳ない。
街の裏側に不穏な動き見え隠れしてると言ったって、それが爆発するのが今日明日って訳でもなければ、こっちがそれを防ぐ事も出来る訳だからな。
対策は必要だったとしても、それ以外の日常生活を疎かにする訳にはいかんので、やりますともさお仕事を……あれ? 俺って実年齢7才だよね? 何でこんなに責任のある立場で仕事しとるんじゃろ?
「ぼーやだからさぁ」
『だからさぁ』
煩いよ? 魔物達。そして、正しいが正しくないぞラミアー。
何時もの様に執務室のソファーでゴロゴロしているラミアーに、『何が?』って感じの表情で見られた訳だが……あー、うん。そう言や、知ってる訳ねぇんだわ。俺の前世であったミームだし。うっかりうっかり。
てか、ラミアーの真似してセフィもソファーでゴロゴロしてるんだが、こっちは、そもそも“服”自体を着慣れてない所為もあってか、あっちこっち捲れまくってエライ格好に。どうやったら、寝っ転がってるだけで肩紐外したり、スカートの裾パンツの中に突っ込んだり出来るんだか。
いや、そのままだと首元伸びるじゃろ。多分またイブ辺りに無言で怒られるから、直しときなさい。
『はぁい』
それに比べると、ラミアーの方は衣服の乱れが全くないやね。股迄しかないワンピースなのにチラリともしない。
「ザコとは違うのだよザコとはぁ!!」
……いや、本当に俺の前世とか知らないんだよね?
うん。またしても『何が?』って感じで見られた。
なんだろう、モヤる。
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ネフェル王女は今、騎士団の方に混ざって貰って訓練をして貰ってる。お手本通りの動きをする王女は、家の騎士団の変則的な奴らと模擬戦をすれば、一寸は経験値が増えると思うからな。
普通に動きの先読み出来るコボルト達とか、力こそパワーな元国王騎士団の豚骨ラーメンズとか。モンスターハントならお任せな元冒険者現住人団員とかとか。色物騎士なら事欠かないんだわ。
言ってって一寸悲しくなった。
まぁ、それはそれとして、彼女に付いて来た侍女さん達の一部が、文官として回されている訳なんだがね。やって貰ってるのは基本的に仕分けだけんども、ソレがあるか無いかだけでも結構違うからなぁ。何と言うか意識のスイッチ的な? 全く違う件を順次バラバラにやってると、あれやこれや考えんといけんから、一寸こんがらがっちまうんだが、同じ系統の物が続けば、それに対しての思考とか必要書類とか纏めてから作業が出来るって言うか。
うん。作業効率的な面でもな。
そのお陰で、今ちょっと余裕が出て来てる。
「お茶、だよ?」
「うん、有り難う」
いつもなら、執務机で、ペン片手に作業しながら飲んでるお茶をこうして、執務室のローテーブルで飲める位には。
これは、アレだな、家のメイドの娘さんから希望を募って、侍女さん達に仕分けの仕方とか教えて貰うってのも視野に入れた方が良いか?
「おか、わり、だよ?」
「うん、有り難う」
うん、たまには、一寸ゆっくりする時間が持てるのは良いやね。




