いや、問題しかない
「おお~!! ここが師父の領地なのですね!」
王都ほどの規模が有る訳じゃないし、何ならお隣の公爵の領地の公都よりも狭いとは思うが、まぁ、大森林内の開拓した部分は順次領地にはできるから、広げようと思えば、何処までも広げる事は出来るんだが、広がった分だけ、事務処理も必要に成るからなぁ。
何が言いたいかと言えば、文官が欲しい。
まぁ、ネフェル王女が滞在している間は彼女お付きの侍女さん等が事務処理を手伝ってくれるって事に成ってるから、それだけが微かな希望。
あわよくば、家の領地に居る人間と結婚して永久就職してくんねぇかな? いや、侍女さんって事は、サウペスタの貴族令嬢って事の筈だから基本平民しかいない家じゃぁ、無理か。一応、侯爵家子息とかA級冒険者とか居るんじゃが。
あ、アイツ魔族だったわ。ダメじゃん。使えねぇな。バフォメット。
「ディスられた気がしたのでっ! 来て!! 見たのだぞ? ライッバルッ!! トーーール!!」
「地獄耳か!!」
いや、今、俺、口にしてないじゃん!? アレか? 【オド】の変化とかで気が付いたって感じか? てか、俺の側に居たミカとバラキが警戒して唸ってるじゃんよ! むしろ何でここに居るんだよ魔族!!
森の中の街道を進んで行った開けた場所に、俺の領地の領都と言って良い街が有る訳なんだが、いや、何でおまいが門番やってるんじゃよバフォメット!!
流石にってか、基本的に人間の街に居る時は人間態に成ってて、無駄に金髪碧眼のイケメンっぷりを振り撒いてる訳なんだが、そんなバフォメットこと、S級冒険者テモ・ハッパーボが何でか領兵の格好で門番やってた訳だ。いや、マジで何で?
「フッ、そっれっはっ!! 我がライッバルッ!! トーーーーーールをいちっ早くっ!! 迎っえるっ為でっアーーーーーーーール!!」
「嘘だ!!」
いや、だから、何で的確に俺の心を読んでくるのか!!
「多分【オド】の波長変化で、何となく感情の変化を読んでいるんだと思います」
そう言えば、ティネッツエちゃんも、俺から出ている電磁波で思考を読めるんだったか。専門家が言ってるんだから間違いないだろう。うん。
そしてそのバフォメットの発言は絶対にダウトだ!! コイツの嗜好的にも性格的にも、そんな殊勝な理由で門番なんざやる訳ない!! そもそも、コイツの嗜好は【闘争】とか【自己研鑽】とかなんだから、家の騎士団鍛えるってぇ程度ならやるかも知れんが、自らが門番をやるなんて事は絶対にありえんわ!!
『【嘆息】そもそも、コイツ、別に兵士に志願なんてしてない筈デス。志願者リストに名前が有った事など無いのデス』
「って、事は、お前勝手に門番をしてるのか!?」
「クックック、甘い!! 甘いぞ!! 我が!! ライッバルッ!! トーーーーーール!!!! ちゃぁんとっ、兵っ長にはっ!! 許っ可っはっ! 貰って居るのでアーーーーーーーール!!!!」
!! もしかして、臨時招聘の事か!? けど、あれは、緊急事態の場合に、一時的に徴兵できるってぇ物で、平時には出来ない物の筈だ!
「門のっ所でっ!! 強っ者を!! 見繕っててもっ良いかっ? となっ!!!! ちゃんっとっ!! 『ここで、問題起こさないなら』と、許可を受けったぞ? 因みっにっ!! この服装っはっ! 私服なのっで、何もっ、問題などっないっ!!!!」
「いやっ! 問題しかないわぁ!!!! 結局それ! 勝手にやってるってぇ事じゃねぇか!!!!」
門番やるってぇ許可じゃ無くて、門の所で街に入る人間を観察してても構わないってぇだけだろうが!!
多分、兵長も、門の所で問題起こされるのもあれだと思って許可をしてんだろうが、自由だな!! S級冒険者ぁ!!!!




