訪問、王都の子爵邸
俺の家族も合流して、向かった先のペンデルト子爵の王都邸は、まぁ、普通に想像できる範囲の町中の豪邸って感じの御屋敷だった。
やっぱ、俺に褒賞として与えられた王都邸、頭おかしいって位にデカかったんだって事が証明されたわ。
因みに国王陛下は付いて来ていない。当たり前だが。
キャンピングカーを馬車置き場の方に送って貰い、俺達は子爵の案内で一先ず応接室へ。先触れはあったが、流石にこの大人数で来るってのは考えて無かったんだろう。お屋敷のメイドさん達がちょっと困惑していらっしゃる。
……決して、俺達の何時ものフォーメーション。俺の左右にイブとティネッツエちゃん。足元にミカとバラキ。膝上にセフィ、背中にラミアー。後ろ脇にジャンヌが立ち、ウリとラファがその辺でゴロゴロしてるってのに戸惑っている訳じゃぁ無い。と思う。だってプロだし。
そんな俺の姿に、子爵は苦笑をしているが、侯爵家子息はあからさまに厳しい顔をしていた。
アルティナス的には、“婚約者だ違うんだ”的なイザコザでこんな事に成ってる中心人物と成ってる俺が、女の子を周囲に侍らせてるって見える状態なのが気に入らないんだろう。
って言ってもなぁ、皆、家族だし。実際、文句言われる謂れもない。そう言えば、ネフェル王女置いて来たな。まぁ、来られてもややこしくなるだけだから、連れて来なくて正解なんだろうけど。
それでもまぁ、後で、何かフォローしとこう。うん。
「で、お宅の娘さんの様子はどうなの?」
「はい、執事の言葉によれば、あまり食事も喉を通って無い様で……」
先ほどの苦笑とは打って変わって、盛大に溜め息を吐きながら子爵がそう言った。まぁ、全く食べてないってよりは良いか? 誤解だったと言え、失恋した様なもんだからなぁ。
「失恋したって思い込んでるのか、それとも裏切られたって思っているのかで、対応は変わって来るよな?」
「そうですなぁ」
「その辺どう思う? アルティナスさんよ」
この屋敷に来てから一っ言も喋って無いけんどもよ。よくよく考えれば、俺にしろコイツにしろ巻き込まれただけなんだよなぁ。ペンデルト子爵に。
「そう言えば、何で付いて来たんだ?」
「……確かに私は部外者かも知れませんが、声を掛けたという縁も有ります。気にするのも変ではないでしょう? 乗りかかった船な訳ですし、私の力が必要な場面が出てくるかもしれません、出来るのであれば力は貸したいと思いますから」
面倒見が良いやね。あれやね、これが『~ガールズ』とかってハーレム作ってく系の、主人公のムーブってヤツな訳やね。
これにはペンデルト子爵もニッコリ。うん。完全にロックオンされてますわ。
これが巻き込まれ型主人公の運命力と言うものか!!
子爵家と侯爵家だと、多少家の力的に差は有るけど、そこはアルティナスくんが入り婿に成るとか、子爵がもう一寸、頑張って、何か功績を積むとかすれば、ハードルは下がる訳だし、娘婿にとか思ってるんなら、頑張って貰うしかないか?
もしくは、その何とかって令嬢さんが光系の回復魔法に目覚めるとか、聖女様とかって感じの力に目覚めるとか?
『【苦笑】それ、どっちもオーナーが目覚めてるデス』
煩いよ。そもそもアレは【プラーナ】だ。




