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予想の斜め下な状況

 一寸、理解できない機能に翻弄されて、時間がかかってしまいました。

 遅くなってしまい申し訳ない。

「貴様!! ずいぶんといい気に成っている様だが、貴族として恥を知れ!!」


 俺に憎々しげな視線を送って来るのは、20才は超えているであろう威丈夫で、向こうは俺の事を知っている様だが、俺の方は全く記憶にない顔だ。


「いや、誰だよ」


 俺は口にしていた料理を飲み込んでから、そう尋ねる。

 男は、顔を真赤にして、名乗りを上げた。


「こ、この私を!! ゴーグレン侯爵家子息、アルティナル・フォン・ゴーグレンの事を知らないと言うのか!!」


 知らんがな、特に俺は貴族連中の事なんざ殆ど頭に入ってないんだからよ。

 てか、こう言う場だと、目上の人間から名乗らないと、下の人間って声をかけちゃいけんかったんでねぇの?

 この場合、辺境伯の頭首である俺の方が、侯爵家子息より立場が上なんだから、この対応は礼儀違反だと思うんじゃが?

 もっとも、声をかけられるまで眼の前で待っていられても、シカトを決め込んでるだろうけど。だって、絶対厄介事だろうし。


「で? そのアルティナル・フォン・ゴーグレン子息が、俺に何の様だ?」

「はぁ? 身に覚えがないなどとは言わせんぞ!!」


 いえ、身に覚えなんざないです。

 首を傾げる俺の態度が気に障った様で、アルティナルが眦を吊り上げるが、いや、そんな風に怒り散らされてもさぁ。だって全く、身に覚えなんざ無いんだもの。


 普通に生きてたって、見ず知らずの人間に突然怒られて、その原因を察せろとか無理じゃね? 眼の前でやらかしたとかって事でもなけりゃ。


「ミミーニャ令嬢の事だ!!」


 いや、誰よ。アルティナルは『言ってやったぞ』的な雰囲気を出してるが、その令嬢とやらの名前を聞いても、俺の記憶には全くヒットしないんじゃが?


「その令嬢の事も分からんのだが?」

「しらばっくれるな!! あれだけの事をしておいて、今更知らないなどと!!」


 いや、だから、そもそも何処の誰かも分からんのだがね? 話聞いてくれねぇかな? 何か本人的には義憤にかられての行動っぽいんだが、俺にはビタ壱事情が理解できないんだわ。


 取り敢えず、いま出ている情報だけで推測できる所では、俺が、そのミミーニャ令嬢とやらに、何か酷い事をやらかして、それを聞いたアルティナルが怒って、文句を言いに来たって所っぽいんだが、そもそも前提として、その令嬢の事を俺は知らないんよ。

 面識のない相手とどうこうできる訳ないんだが、アルティナルは、俺とその令嬢との間に何か有ったと確信してるっぽいんよなぁ。


「……悪いんだが、俺に心当たりはない。って、言うか、それは本当に俺の事なのか?」

「馬鹿な事を!! 【ドラゴンスレイヤー】と言えば、貴様の事ではないのか!! 少し腕っぷしが強いと言うだけで、ここまで増長しているなど、見下げ果てた卑劣漢め!!」


 うん、どうやら人違いって訳じゃぁないっぽいな。確かに俺は【ドラゴンスレイヤー】な訳だし。ただ、そうだったとしても、その令嬢の事は、全く分からないんよね。


「婚約者であるご令嬢をないがしろにし、他国の王女に現を抜かす様な最低野郎は、このアルティナルが、天誅を下してやる!!」


 はい? 婚約者? 誰が?

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