有閑マダムの午後のひと時
またちょっと落ちてました。
遅くなって申し訳ない。
朝起きて昼までの時間は、ネフェル王女と組手をやる以外は大体は瞑想して【プラーナ】を純化する日々。まぁそれ以外の時間はダンスレッスンだったり、第二夫人に抱きすくめられながらのお茶会だがね。
もっとも、その第二夫人にしたって、王都に居る訳だから、社交に精を出してる訳なんだが。ただ、何でお茶会を俺の屋敷でやってるのかって言う問題はある。
いや、それが俺の為にだって事は理解してるんだけんどもよ。
「本来なら、お屋敷のお披露目をしないといけない所なのよ? でも、正式に下賜されるのは叙勲の後だから、今は『こんな屋敷を国王陛下直々にいただきましたの』と言う事を知らしめるに止めて居るの。本来、王都に屋敷を持てない貴族なんて、一段低く見られる物なんだから、ここはちゃんと王都にも屋敷はありますよって言う事を周知させないといけないの」
「あ、はい」
まぁ、色々あるらしい。貴族ってのは、所謂『貴族らしい所作』ってヤツが基本にあって、それにどれだけ忠実に見えるかってのが重要な訳で、だからこそ、そこを目指す訳だ。
その基準から逸脱しない様に動きつつ、自分の味方を増やす為に、噂を流し、対話し、利益を見せ、敵対する者を牽制し、貶める。
見栄が重要なのも味方を増やして、敵を牽制する為な訳だしな。
夜会に出るのも、お茶会に出たり開いたりするのも、情報収集だったり、ロビイ活動の為だったりする。それが、まぁ、貴族社会の戦いでもあるんだがね。
俺は、そう言った事には疎いし、正直、貴族社会の中での評判とかは気にしない訳だけど、それでもその辺りを疎かにしてれば、極端に不利に成る場合が有るってのを分ってるから、第二夫人なんかは、そのフォローをしてくれてるって訳だね。
実際、そのお陰もあって、殆ど夜会に出ない様な俺の評価が極端に悪いって事もない。夜会に全く出てこない様な貴族の評判なんて、それはもう、好き勝手作られるって事が殆どだからなぁ。尾ひれはひれが付いた噂が事実に、悪意ある評判が現実としてまかり通るのが貴族社会って物だし、そうやって現実のものとして固定されちまった評価は、早々覆せないからなぁ。
それが嫌なら、頻繁にお茶会に行ったり開いたり、慈善活動やら芸術家支援やらして外聞を良くしたりって活動をしなきゃいけない訳なんだわ。
いやはや、面倒臭いわ貴族社会。
第二夫人が俺を抱きしめながら何かスンスンしてる。なんて言うか、この屋敷に居る侍女さん達も、この状況に慣れたらしくて今は生暖かい目で見てる訳なんだけんどもよ。
まぁ、俺の為に色々手を尽くしてくれているのは分かってるんで、彼女の精神が安定するってんのなら、別にこの状態を続けるのは構わないんだがね。
って、言うか、第二夫人、この屋敷に滞在しっぱなしだけど、良いんかね? 彼女の評価的には。
まぁ、現実主義っぽい夫人の侍女さんが、何も言わないって時点で、構わないのかも知れんけどさ。




