侍女さんが欲しいって言い方だとエロジジイっぽいなぁ
そこは腐っても王族って事なのか、オーサキ辺境領の内部事情の情報も手に入れてやがったのか。
『【意外】脳筋かと思ってましたデスが、中々ちゃんと王族の様なのデス』
だな。俺と対面するにあたって、その辺の事情は確認してたって所か。だとすると、弟子入り云々の話も、最初っから決めていたってぇ事なんだろう。
だとすると、立ち合いの申し込みは、最終的な判断の為の腕試しだったってぇ事か。
そうなると、高々辺境伯ん所に他国とは言え王族が弟子入りなんて事を国王様が知らなかったてぇ事は無い筈なんで、もしかしたら入れ知恵したのも国王様なんかも知れんな。
つまり、だいたい国王様が悪い。
いや、まぁ、国家のトップとして、他国の王族とのつながりは大切にしなきゃ成らんかも知れんけんどもさ。
あの国には一度飴と鞭は与えてるけんども、鞭の方の衝撃が大き過ぎたっぽいから、飴の方を与えて置こうって所かねぇ。
逆らう事が出来ない様に成ってる訳だから、実質、属国みたいな事に成ってる訳だがね。
まぁ、国王様は釣った魚にも餌をやるタイプだったって事だ。
この場合、餌は俺な訳だが。その餌の方にも、メリットを与える辺りは為政者だなぁって思うわ。いや、どこまでがネフェル王女の考えで、どこからが国王様の考えか分からんかがね。
「はぁ、仕方ない、だけど、俺が出来るのは、組手位だからな?」
「うむ、それで構いませぬ」
とは言え、実の事を言えば、この組手に関しても俺の方には一切メリットが無いんだけどね。
実際、普段から使ってる身体能力強化以上の物は使ってなかった訳で。要は、ほぼ“素”の能力で相手をしてたんよ。
態々気合入れての【身体能力向上】も【アドアップ】も【ブースト】もなぁ。
全ては侍女さん達を雇い入れる為。まぁ、教えるって事で、何か得るものも有るかも知れんが、そんな未知の利益よりも、今は侍女さんが優先。
それもこれも、文官が足りんのがいけんのや。
獣人の王国で、幾人かは雇い入れられたけど、それでも足りんのよね。
現状、家の領はバリバリ開発途中だから、規模を拡大している最中だし、今以上に町とか増やすって成ると、代官も必要だしな。
実際、“扉”を抜けた先で、国が有るって確認できてる場所も有る訳だし、そっちとの国交を開く準備もしなきゃ成らん。
なにせ、既に獣人の王国との実績があるんで、国的にもGOサインは出てるんだ。
まだ探索をしてない“扉”も有るけど、既に確認の取れてる“扉”に関しては、エクスシーア商会の支店も送り込んで、情報収集も始まってる。
実際、ルーガルー翁からお願いされて、彼の一族がその大陸での諜報活動をする為の拠点の一つとして提携もしてるからなぁ。
そんなこんなで、文官は必須。ついでに、家の領の子供達も教育を進めてはいるんで、今いる文官の人達に有望そうな子供も育てて貰って、将来的には後を継いで貰いたいって野望も有る。
その為のノウハウ創りをする為にも、今現在の状況を理解した上で動ける人員は必須なんよね。
だからこそ、侍女さん達は、喉から手が出るほど欲しい。
まぁ、所属する組織が違うから、本当に機密に当たる様な所には配置できないけどね。




