ただ褒めるってだけの事が、色々と面倒なのが政治って物らしい
態々、公式に城に呼んだって事は、公でやって貰いたい事が有るって事なんだろうな。前みたいに非公式で他国の内戦を収めろって感じじゃなく、他の貴族連中にも分かる様にって感じでって事なんだろうと思うけど。
「“扉”を使っての他国との外交は、この世界でも初の試みかも知れんのでな。それも、相手国からの絶賛と言って良い支持を得てなど、並び立てる者などいないであろう功績ぞ?」
そっちかぁ。アレだよね、俺、辺境伯って地位を貰ってたけど、その隣接してる国、友好国だから、実質意味が無かったって言うか、お飾りにしちゃ、過剰戦力を有してる所為で、多分、他の貴族からの突き上げが多かったんだろうなぁ。
いや、不満を抱えてそうな近隣貴族に感しちゃ、SETTAIとOHANASHIで、割と良好な関係を築けるようにしといたけど、それ程近くない領地の貴族とかから見れば、辺境伯なんて高い地位だけ貰って、面倒な外交してないって言う、棚ボタっぽい立場だから色々と妬みとか嫉みを買ってるんだろうし。
いや、コレで結構苦労はしてるんだけんども? そもそも俺の領地、大森林が殆どだから、基本、開墾しなけりゃ住めない挙句、そもそもが森の深い所な訳で、出て来る魔物が強い挙句に厄介なモノが多いんだからね?
まぁ、余所から見れば、簡単にやってる様に見えるんだろうけど、そう言えば、最初の土地の開墾から土地基盤の準備まで、俺と家族だけだったんだからな? 普通、10年単位での開墾計画を立てなきゃいけない所、全部個人的な力でとっととやっつけちまったからこその、今が有るんで、余所様が思ってるであろう感じに楽勝って訳じゃぁ、もちろんない。
まぁ、傍から見てたら報奨がデカすぎるって見える……てか、【ドラゴンスレイヤー】の価値って辺境伯だと釣り合わない位なんかね? まぁ、他国での話だし、この国の貴族に利益が有った訳じゃないしなぁ。
対外的には【ドラゴンスレイヤー】の囲い込みでしか無いんよね。何せ魔人族国がラブコールを送る程度には、利用価値が有るって判断されてる訳だし。いや、それほど単純なもんでもないんだろうけど。
てか、その辺のトレードオフのつり合いに関しては、よう分からんわ。
「つまりは、目に見える功績を出したのだから褒賞が必要と」
「で、あるな。しかし、貴様は、これ以上の土地や爵位など望んでいないのだろう?」
まぁ、開墾してる上に、その開墾してる間の税金の免除までして貰ってる訳だしな。第一、昇爵じゃなく爵位って事は、別の土地を与えるか、宮廷内に地位を用意するってぇ事だろ?
「要りませんね」
ただでさえ人手不足も甚だしいってのに、領地離れろとか馬鹿じゃねぇの? と思うし。
「ならば、報奨金と名誉勲章と言う事に成るのだが……」
「それよりも、紐付きでない文官下さいよ。多少は連れて来たけど、まだ足りんのですわ」
獣人の王国の方の砦にも人が出ちまってるからなぁ。あそこもそのうち街にするつもりだし、他の“扉”も調べた後、国交を開くつもりではあるし。
「文官は……王宮でも足りてるとは言い難い状況でな」
やっぱり、脳筋しかいない説が濃厚か。
「特に、次代の国王には、優秀な文官が必要不可欠になると思うのでな」
俺は王子二人を思い出し、思わず『ああ……』と納得しちまったわ。
「どこかの優秀な甥っ子が継いでくれると言うなら、その負担も減るのであるが……」
「甥っ子ではないですし、国王継ぐつもりは無いですよ、現状でも反対派みたいな貴族が居るんですよね? 面倒な事この上ない」
第一、対外的には血縁じゃ無いじゃんね?




