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伝説の赤巨神

 瞬間、視界の全てが赤い光に包まれ【邪神】の嗤い声が止まった。全ての対外時間が引き延ばされているかの様に、事象がスローモーションで動き、それとは真逆に、俺自身の思考は加速して居るかの様に鮮明に成って行く。

 視界や聴覚と言った物とは違う感覚で、周囲を捉え始め、その感覚が広域へと広がって行く。

 何だ? これは!!


 成程、【邪神(コイツ)】は、反逆と反骨を嗜好としている【邪神】なのか、だから……

 いや、()()、俺はそんな事まで理解している?


『ここまで、たどりついたねぇ。やっぱりとーるんは、やればできるこだぁ』


 セフィ?


 全ての外感覚が間延びし、自身の内感覚が加速し、全ての情報が雪崩れ込んで来ている様なその時間の中で、その声だけがハッキリと響いた。


『かみのりょういきに、いっぽをふみいれたおいわいだよぉ。でも、まだ、からだがついてこないだろうからぁ、あとは()()()()()()()()()


 優しく包み込む様な、そんな声が聞こえ、次の瞬間、俺の意識は暗転した。


 ******


「知らない天……いや、止めとくか」


 ミーム化し過ぎてて、もはや、食傷気味な一言を途中で止め、首だけを動かして周囲を見る。知らないのは天井だけじゃないねんで、と。

 清潔そうな淡いクリーム色の壁と高級そうな調度品、そして、俺の寝かされている天蓋付きのベット。周囲にこそ人は居ないが、扉の外や、隣の部屋なんかには、馴染み有る気配がする。


 あー、ま~た気を失ってたんか、俺。


 ようやっと残心が出来る程度に成長出来たと思ったんだがなぁ。

 まだまだだったわ。


 そんな事を考えながら項垂れていると、隣室に繋がる扉がガチャリと開き、イブとミカ、バラキが飛び込んで来た。

 イブが俺を見て目を見開き、眦に涙を溜め、ミカは頭を擦り付けて来て、バラキは俺の太ももに頭突きをして来た。いや、痛いから、地味に。


 正直すまんとは思う。だが、反省はすれども後悔はしない!! あっ、ちょ、バラキさん、本気で地味に痛いから!


 俺とバラキが、そんなやり取りをしている横で、イブがグスグスと鼻を鳴らしている。


「トールっ、様、はっ!! いつ、もっ!! いつ、もっ!!」

「うん、悪かったって」


 この後、ティネッツエちゃんやラミアー、セフィも乱入して来た。ティネッツエちゃんも、泣きながら『心配したんですよ』と滾々と説明し、ラミアーは無言でしがみ付いて来た。セフィは……ニヤニヤしてんじゃねぇよ。


 ******


 俺のぶっ倒れた後の始末はジャンヌと聖弓(ロボセイント)がしてくれたらしい。とは言え、国王君や聖女さん(スーリヤ)に説明したりって感じらしいが。

 多分、それと一緒に、今回の顛末の口裏を合わせてるって所か。ジャンヌと聖弓なら、離れてても【念話】出来るし。


「【邪神】は何とか押し返せたんだな」


 ぶっちゃけ俺は、気ぃ失ってて覚えて無いんで、事の顛末はまるっきり分からんのだが。だが、俺がそう口にした途端に、部屋に来た全員が『えっ』って感じの表情に成る。いや、セフィだけニヤニヤしてるけんども。


「トール、様、巨神、成ってた」


 は? え? 一寸意味が分からないんですけれども?

 何よ、巨神に()()()()て。


 困惑して皆の顔を見るが、俺以上に、皆は困惑している様子でこっちを見ている。

 いや、セフィだけはニヨニヨしてやがるな。コイツ、分かってて、黙ってるんだな。まぁ、良いけど。


 で、皆の話を統合すると、何かね、赤い巨大な人型に成ってた、らしいよ? 俺。

 で、その巨神状態で、【邪神】の亀裂を()()()()()らしい。覚えてないけど……


 赤い、巨神かぁ……ジ〇神様かな?

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