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全てを賭ける

 オファニムとケルブからの、心配そうな感情が伝わって来る。

 まぁ、接続されてる関係上、俺の状態も伝わってるわな。だけど、心配するな。()()大丈夫だ。

 視界は赤に染まり光は映さなくなっている。だけど、アイツらの気配だけはビンビンに伝わって来てるんだわ。


 自身の周囲に渦巻いていた【プラーナオリジン】の暴風が凝縮し、結晶化しているのが感じ取れる。


 その間も、イブとジャンヌが、【邪神】の黒の腐食を【ファイアランス】で迎撃しているのも感じられた。

 1人少なくなった程度と言っても、数が多ければ、結構な負担にはなるだろうに。突然、灰色の靄の方の迎撃に切り替えたにも拘らず、何も言わずに黒の腐食の迎撃を続けてくれている。うん、正直済まんと思う。だから、全員で無事に帰って、絶対に恩に報いるつもりだ。


 だから……


「とっとと終わりにしようかあ!!」


 一度の精製で相打ちで終わるなら、そのまま生成し続ければ良い!! 向こうが新たに灰色の靄を……ラルヴァを出現させると言うなら、それ以上に【クリスタルネイル】を出せば良い!! もっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっと!!!!


 俺は次々に【プラーナ】を精製し、周囲に渦巻く暴風をさらに激しく吹き荒れさせる。そしてそれを圧縮、結晶、そして撃ち出す!! 次々に次々に次々に次々に次々に次々に!!!!


 あたかもそれは、ガトリングの様に撃ち出され、その内包されたエネルギーを使いつくすまで何度もラルヴァに突撃して行く。

 他者の精神を弱らせる怨嗟の声を上げていたラルヴァだったが、しかし、次々に精製される【クリスタルネイル】の物量に、競り負け、その数を減らして行った。


 だが、まだ、だ。根本をどうにかしなけりゃ、()()は終わらない!!


()()()もとっとと消えやがれえぇ!!!!」


 俺は、【クリスタルネイル】の次の標的を【邪神】に定めると、空間の亀裂に向けて【クリスタルネイル】を撃ち出す。


 が、【邪神】の方もそれに抵抗するかの様に灰色の靄と黒の腐食の量を増やして来た。くそっ!! まだまだ余裕は有るって事かよ!!


 黒の腐食が、その侵食速度を速め、灰色の靄はラルヴァとレイスを生み出す。


 我慢比べなんざしない!! 向こうよりも上回って、消滅させてやる!!


 頭がズキズキと痛み出し、目から、鼻から、耳からヌルりとした感触が伝う。だが、視える、し、聴こえる。

 まだ、だ、まだやれる!! ふり絞れる!!


 だが、【邪神】からの圧力も強くなる。何が可笑しいのか、【邪神】は嗤ってやがる。その度に圧力が強くなる。


『【奮起】ここで踏ん張らなければ、女が廃るのデェス!!!!』

「んっ!!」

『【発奮】レイスなら!! わたくしの領分ですわ!!』

「わた、しも!! 精神攻撃なら、打ち消せますからっ!!!!」

「トールと皆は!! 護る!!」

「わん!!」

「ワン? ワオン!!」

「ワオ――――ン!!!!」

「ワンワンッ!!!!」

「子供だけに任せときませんわぁ」


 はは、皆、やる気じゃねぇかよ!! なら、俺も負けてられねぇよなあぁ!!!!

 頭がズキズキと痛む。だが、()()()()()()()!!


 イブが、ジャンヌが、【ファイアランス】を更に撃ち放ち、聖弓(ロボセイント)がレイスをティネッツエちゃんがラルヴァの怨嗟の声を打ち消す。

 ラミアーが俺達全員に【念動障壁(サイコバリア)】を張り、ミカが、バラキが、ウリが、ラファが、【プラーナ】で黒の腐食を対消滅させて行く。

 ウィキシュも、魔獣化して犬達に続く。


 あちこちで火花が散り、プラズマ放電が起き、その余波で地面が割れる。


 そして、その中でも【邪神】が嗤い続ける。


 煩い。何が可笑しい!! これだけの被害者を出しておいて、何が可笑しい!!!!


 【プラーナ】を精製し、結晶化させ、撃ち出す、撃ち出す、撃ち出す、撃ち出す!!

 気が付けば、王城の城壁内部からも、王都の外縁部からも魔法が打ち出されていた。

 皆が戦っている。誰もが抵抗している。“死”を“嗤う”【邪神】に対して!!


 嗤うな!! 生きる者を!! 嗤ってんじゃねええええぇぇぇぇぇ!!!!


 俺の中から、ゴッソリと何かが抜けて行く。


 その瞬間、全てが、赤に染まった。

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