初手、拮抗
拮抗。俺達の攻撃と、【邪神】攻撃とは、全くの拮抗状態に成っていた。いや、パッシブで精神攻撃を垂れ流してるって事を考えれば、こっちの方がやや不利な気がするけんどもよ。
俺や仲間達なら兎も角、避難キャンプに居る連中やら、王城内の貴族共何かは、今現在、どんな状態に成って居るか全くわからんのがなぁ。
「っと!」
危ない、今のはギリギリだった。【邪神】の黒の腐食は、その数もさることながら、その一発一発も結構な威力がありやがる。
【プラーナビーム】で迎撃するにしたって、指からのソレだと威力負けしちまうんよな。貫通力はこっちのが高いんだけんどもよぉ。これでも、【プラーナオリジン】に精製できる様に成って、その威力は段違いに上がってるんだが!? にも拘らず、幾つか束ねた状態じゃないと、まともに勝負に成らんて!!
イブの時もそうだったんだが、威力上がったり新技身に付けたりしたにも拘らず、それを上回る敵が出て来るって、理不尽この上ないと思うんよ。
まぁ、そのままだと威力不足だって事で、仕方無いから、【エクステンド】のキャノン砲を2門に増やして抵抗する事にした。本当はこう、脇の下とかから構えたかった。〇‐91みたいに! 〇‐91みたいに!!
『【嘆息】オーナー、集中してくださいデス』
「正直すまんかった」
世の中のあんまりな理不尽さに、一寸、逃避しかかったわ。
次々に打ち出される黒の腐食をイブとジャンヌの【ファイアランス】と【エクステンドキャノン】で相殺し、弾き、受け流し続ける。
弾かれ、建物にぶち当たった黒の腐食は、そのまま、その建物を腐食させ、朽ち果てさせていた。
「正直、それ程腐食させる範囲が大きくないって事だけが救いだな」
『【同意】精々、直径3m程度で済んでるのが不思議デス』
そうは言っても、平屋なら屋根に当たれば建物の床まで無くなる大きさだからな?
とは言え、想像よりも被害が少ないってのは幸いだ、そもそも、相殺しきれなかった流れ弾の話でしかない。落ち着いて、冷静に迎撃して居れば、問題は無い……事は無いんだが……
今の所拮抗出来て居るのは、【邪神】が黒の腐食以外の攻撃をしてこないからだ。ただし、パッシブのアレは除く。
仮にも【邪神】と呼ばれて居る存在だ。まさか攻撃手段がそれだけってこたぁないだろう。召喚されたのにも拘らず、単調な攻撃しかしてこない理由はなんだ?
いや、逆に考えたらどうだ? 召喚されたが故に何らかの制約が有ると。
……駄目だな、これはただの希望的観測に過ぎない。それも、かなり楽観的な。
取り敢えずは【プラーナオリジン】を精製し、打ち出す事に集中しなくちゃいかん。世の中の理不尽を嘆くのは、生き延びた後、幾らでも出来るんだからな!!
集中集中集中集中集中集中集中!!!!




