表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
653/1158

腐食させる者。ただしベルゼブブではない

 イブの放つ【ファイアランス】が次々に空中に空いた亀裂へと着弾……してる様には見えるんだが……


 効いているのか居ないのか、その辺りの判断は全くできない。実際、存在としてのステージが違い過ぎて、相手に成っているのか居ないのか。

 ただ、この世界に顕現する為には、確実に、この世界の物理……いや、この世界の物理さん有給取ってる疑惑有るから、まぁ、法則には則ってるとは思うんだがね。

 でなければ、俺だって、あの時押し返せなかっただろうし。

 俺は、ラミアーの【念動障壁(サイコバリア)】から飛び出し、【邪神】へと向かい、宙を()()()


『【警告】オーナー、拙いデス』


 【プラーナ】を精製しつつ、体内循環をさせる。濃く濃く、速く速く。俺に同調しているオファニムとケルブ、そしてジャンヌの表面にスリットが開き、そこを明滅しながら【プラーナオリジン】が流れる。

 と、ジャンヌから、やや焦った様な声が聞こえた。

 見れば、【邪神】の開けた亀裂の周囲の空に、じわじわと黒い何かがしみだしてる様に見える。


「何だ?」

『【解析】空間が、腐食していってるデス!!』


 は? 何それ、どう言う状況よ!? 空間が腐食? 意味が分からんのだが!?


 黒い腐食は、まるで空間の縁で溜まるのを待つように『プクリ』と脹らんで行く。と、次の瞬間。堰を切ったかの様に()()()()、こちらに向かって、まるでガラス窓に付いた水滴の様に、えらい速さで伸びて来た。


「クッ!! ジャンヌ!!」

『【了解】デェス!!』


 背中から接続された様な形状に形成した【エクステンド】をあたかもキャノン砲の様に正面へと伸ばし、そこから精製した【プラーナオリジン】による【プラーナビーム】を放つ。と、同時にジャンヌを前へと突き出す様に掲げ、合計60にも及ぶ【ファイアランス】をその黒の腐食へと放った。


 ジュッ!


 いや、何『ジュッ!』って、何で消火した様な音出してるんよ!! いや、多分、対消滅的な何かだとは思うけど、こっち、結構力込めて撃ち出したんですけど!? 何、その軽い音!!


 俺の横をイブの放った無数の【ファイアランス】が通り過ぎ、空間の亀裂へと炸裂する。だが、これも、小さな音をたてただけで消滅した。これ、今俺の攻撃が消されたのと同じ理屈なのか!

 この距離まで近付いた事で、はっきりと見えた。空間の縁に溜まった、黒の腐食で迎撃してやがったのか!!

 その事実に俺は二ヤリと笑った。


「迎撃をしなけりゃならないってこたぁ、攻撃は“有効”だって事だよなぁ」


 確かに、歪で異質な気配そのものは、この間俺が遭遇した【邪神】よりも強いかもしれない。だが、()()()()この世界の法則には、合わせてくれているらしい。

 こちらの攻撃が“有効”だって事は、つまりは、こちらの世界の物理法則に合わせて“顕現”されていると言う事な訳で、それはつまり、顕現している部分だけでも破壊する事が出来れば、押し返す事も可能だって事な訳だ。


 取り敢えず、あの黒の腐食はヤバイ。こっちの攻撃をほぼ無効化してる訳だからな。だけど、対消滅に持ち込めるってのなら、後は相手との我慢くらべって事だわな。

 さてさて、仮にも“神”と呼ばれる相手に対して我慢くらべかよ。


「まぁ、良い。チキンレースの開催だ!!」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ