俺、入城!!
PCの調子が悪く、何とか復旧して居たら、遅くなってしまいました。
申し訳ない。
門兵さんが開けてくれた城門の間から、場内に滑り込む。基本、ゾンビは無力化しながら来たんで、追い縋られてるってぇ状況には成って無いが、それでも冒険者ゾンビは、元気いっぱいに走り込んで来ようとする。
ただしそれ等は、聖弓の【ターンアンデッド】で一網打尽にされたけどな。
【ターンアンデッド】が効くって事は、あの冒険者連中は、既に生命活動が出来ない位には、魂が摩耗してるって事で、ああなってしまえば、魂の恢復ですら効果が有るのかは不明だ。
【プラーナ】での回復及び恢復は、あくまで、本人の治癒力を高めているに過ぎない。
だから、その治癒力の範疇外に成るほどの損耗だと、掛けた所で意味は無くなる。
……もしかしたら、魂の恢復で間に合った可能性も有る。だけど、今、それを試している隙なんざ無い。
そもそも生きているなら、【ターンアンデッド】なんざ、効かなかった筈だしな。
「大丈、夫、トール、様、正しい」
『【同意】そもそも、向こうは敵デス。殺しに掛かって来てる相手の事まで、気にしちゃ駄目デェス!』
分かる程、ひどい表情してたかね。完全に犯罪者なら、これ程気にもしなかったんだが。
一応にも、罪を犯したって、訳じゃあ……いや、よくよく考えたら、国に喧嘩売ってるんだから、国家反逆罪には成るのか。
それも、国の方には、咎の無い状態で。いや、でも、それも操られての事か? ただ、それ以前から国の方針とはそぐわない行動はしてたし……
よし、気にしたら負けたな。気持ちを切り替えよう。うん。
「おお!! トール様!!」
魅惑の低音ボイスで叫びつつ、ズザザーーー!! てな感じで俺の前にジャンピング五体投地をかましてきやがったのはこの国の宰相獣人こと、グリズリーさん。じゃ、なくてグリズリー獣人の宰相さん。まぁ、どっちでも良いか。
「この度は、反乱と言うこの国の一大事に来てくださった事!! 誠に……」
「そう言うの良いから、詳細を聞かせてくれる? 後、これもよろしく」
そう言って、俺は、さっき確保した疑似ゾンビの1人を投げ渡す。正直、誰でも良かったんだが、あの時、聖弓の【ターンアンデット】で倒れなかった、冒険者ゾンビの1人を掻っ攫って……げふんげふん、緊急搬送して来て於いたんよ。
多分、普通の市民の疑似ゾンビよりはタフだろうし。
まぁ、市井に薬を積極的に広めたのは冒険者らしいんで、今、王都がこんな風に成っているのは、大体、コイツ等の所為なんだし、協力して貰おう。自業自得として!!
「これは?」
「まぁ、サンプルの様なもんだ。今は、大人しいけど、目を覚ますと厄介だから、牢屋とかに入れてくれると助かる」
「ほほう? 御意!! 誰か!! この者を地下牢に!!」
俺の、説明にも成ってない様な説明に、何かを察したらしい宰相さん。
その宰相さんが、そんな風に命令すると、城の近衛兵であろう数人が、俺の方に一礼すると、そそくさと疑似ゾンビを荒縄で縛った後、引き摺る様に連れて行った。
いや、何で俺に頭下げたし。お偉いさんは宰相さんの方でしょうに。




