【回復魔法】
23/10/26
分かり辛いと思った表現の部分を修正加筆しました。
この加筆での元々のストーリーラインへの影響はありません。
「流石、“光教会”の神子様!!」
「流石は神子様の犬神様!!」
「さす神!!」
「さす神!!」
俺達が回復を使える事と、光の神関係ないんだが!? どちらかと言えな闘神寄りだし、俺。後、『さす神』はやめれ。
いや、兵士の人達が、あえてこういう物言いをしてるってのは分かってるんだ。所謂【回復魔法】的な物ってのは【神聖魔法】に類する魔法な上、その使い手ってのは神官しかいない筈だからな。いや、むしろハッキリ言えば、教会が独占している“技術”な訳だ。
その上で言うと、この【回復魔法】ってのは、その使い手が極端に少ないんよね。
俺も何度も練習を重ねた上で、苦労して習得した“技術”だから分かるんだが、回復させる為には、対象の身体に、自身の魔力成り何なりを“浸透”させなけりゃいけない。
ただ、それを行う為には、相手より大量の【魔力】を使って、ごり押しするか、もしくは完璧に波長を合わせるかの二択しかないんよ。で、ごり押しした場合、術を掛けられた対象は、身体は回復するかもしれんが、その反面、精神をゴッソリ奪わてれしまうんよ。何せ、通常であれば、【抵抗】している他人の【魔力】に押し流される様に押し付けられ、浸透させられる訳だからな。
だから、通常『回復』を行う場合、このごり押しを選ぶ事は無いんよね。身体は回復しました。だけど、精神は衰弱しましたってぇ状態に、意味はあるのか? って話だからな。まぁ、緊急の場合はそれも致し方無しって事も有るんだけんども。
まぁ、それはそれとして、そうなると、完璧に波長を合わせるしかない訳だが、それがまぁ、面倒臭いのなんのって! いや、ラファ筆頭に家の犬達、いとも容易く行ってくれちゃった訳だが。えげつねぇよなぁ。マジで。
そんな感じで【回復魔法】使い手ってのは、神官以外は居ない上に、使い手も少ないって言うね。そりゃ、希少価値が高くなるし、それに応じての謝礼金も高くなる。
それが突然、神官以外から、その使い手が現れたら、その神官達側の使い手の希少価値が下がる様な事に成る訳だ。そうなれば、独占状態だった市場に罅が入る事に成る、そうなれば、希少価値的にも謝礼の金額的にも旨味が、ねぇ。
そんな事に成れば、教会側は面白くは無いだろうし、下手すりゃ排除に動く事が予想される訳だ、ある意味、既定路線って感じだよな。
だけど、ここで、俺が“神子”で、有ると、特別な存在なんだとアピールする事で、周囲の、特に教会関係者の目を逸らそうとしてくれているんだろう。
なにせ教会。その協力者なんて、何処にでもいる。『壁に耳アリ、正直メアリー。お前の後ろにメリーさん』ってな。
そうやって、『教会の関係者ですよ』アピールをしておけば、一応にしろ教会の面子は保てるし、希少価値そのものはそれほど下がらなくなる。なにせ、【回復魔法】ってのは教会関係者でないと、使えない事で有名な訳だし。一応でも教会関係者だって認識なら、『じゃぁ、今回関係者じゃなくたって【回復魔法】使えるんじゃん』って、事には成らないからなぁ。
もしかしたら、俺の穿ち過ぎかもしれないが、そうやって、俺と言う存在を教会側から守ろうとしてくれてるって事だとは思うんよね。有難い事になぁ。
と言っても、こっちも思惑が有って治療してた訳だから、そこまで感謝しようとしてくれなくて良いんだがね。
******
犬達が【プラーナ】での回復が出来る様に成ったとは言え、結局恢復の方は、聖弓が戻って来ないと練習も儘ならん訳で、俺達に進めておけるのは、ここまでなんよね。
まぁ、それでも【プラーナ】を研ぎ澄ます感覚は練習できるかね? 特に魂が摩耗して無いから、【プラーナ・オリジン】を注いでも、あんま変わらんとは思うが。
たとしても、気軽に試しても良いって事には成らんのだわ、副作用とかあったら怖いし。
いや、【生命力】の根源なんだから、そんなもん無さそうではあるけど、最近はほら、【過剰回復】で攻撃とかってのも、ある意味テンプレだしなぁ。『君子危うきに近寄らず』なんよ。
まぁ、それでも、出来る事はやっとくけんどもさぁ。




