上手く行ったら御慰み
少しバタバタしていて遅くなりました。
申し訳ない。
『【思案】要は、純粋な【魔力】では無く、ある程度の命令を【付与】した物をエネルギー元として注入すれば良いのデス』
【魔法】と言う“現象”にまで達してしていない【魔力】を使って、疑似魂を誤作動させるってぇ認識で良いのか?
いや、本格的にハッキングでもしてる風な様だな。
『【肯定】同じ様なモノデス』
『【嘆息】あまり好ましくは無い方法ではありますが、それが可能だと言うのであれば、それもまた、神の御心なのでしょうから……』
神は、悪に傾く自由すらも与えたまえたってか?
そう言えば、そもそも地獄と言う場所を創ってあったのも、人が悪を成す事を見越してたからこその事だとかなんだとか。それすらも乗り越えて魂を昇華させる事を人に期待しているんだって話で。
地獄の底を覗いてなお上へを目指す強さを望むからこそ、ダンテの『神曲』では、天国へと至る入口が地獄の底にあるんだとか、そんな解釈。
曰く『悪を成すのもまた、人間である』らしい。超解釈だよな。
っても、あれ、地獄から煉獄に登って行って、そこで死に別れた恋人に導かれて昇天してるんだから、直接天国への道が地獄にある訳じゃ無いんよね。
まぁ、それはこの際関係ないんだが。
兎に角、命令を付与された【魔力】を注入する事で、【魔力】が混ざってるってぇ状態を疑似的に再現しようって事な訳だ。
あくまで疑似的、それも『多分こんな状態だと思う』ってぇ、多分に予測混じり。
『【不満】それはもうしょうがないのデス。結局、アンデットのサンプルは発見できなかったのデス』
「その辺はもう、どうして見ようもないからなぁ」
ガチャ運は強い方なんだけどな……あれ? もしかして変な奴ら引き寄せてるの、そのせいか? レアリティ―で言えばSRクラスだと思うし、コボルトとか魔族とか巨人族とかetc、etc……
……あー……今回の事で言えば、多分、『物欲センサー』の方が働いたんだろうさね。若しくは『マーフィーの法則』。
「取り敢えず、『何とか』は、成りそうか?」
『【肯定】ただ、複雑な命令は出来ないのデス。でも、案山子か的位には成りそうデス』
疑似魂の器として、今回作られたのが目の前の全身鎧。それをまるで磔にでもするかの様に、木の棒へと括り付け、ジャンヌがそう言った。
今回の事を考えれば、それで充分だな。そもそも、出来るかできないかの実験の様なものな訳だし。
「そんじゃまぁ、ジャンヌ、頼む」
『【了承】オッケーデェス!! 聖弓! 打合せ通りに頼むデス!!』
『【了解】では、【同期】! 始めますわ!!』
聖弓の言葉と同時に、俺の視界に変化が訪れた。まるで、サーモグラフィーの様に、色味で分けられたオーラの様な、ぼやぁっとした靄の様なモノが見えて来る。
「成程、コレが【魔力】ってやつなのかね?」




