【禁忌術】は伊達じゃない!!
結論から言おう。
「うん。無理だったな」
『【嘆息】想像以上に難しかったですわね』
疑似魂を使った魂の浄化実験は、実験する前に終わった。と言うのも、先ず、魂に【魔力】を混ぜると言う事が出来なかったからだ。
『【苦笑】そもそも、アンデットを作る事自体がネクロマンシーと言う【禁忌術】だったのデス。早々簡単にできる事なら、秘匿される事もなかったのデス』
そりゃそうだわ不死の化け物を作る術だからってだけじゃ無いんな。そもそもが難しい術であり、その失敗の代償も大きいって事も有って、『使っちゃダメよ』ってぇ事に成ってるんだもんな。
普通なら魂に【魔力】は混ざらない所を無理やりにでも混ぜる事によって、アンデットとして再生をさせる。その劣化した失敗品を無理やり使用に耐える様にしたが、この世界でのゾンビと言う訳だ。
つまりは副産物って所か。
まぁ、自然発生したゾンビも居るらしいが、そんな物、レア中のレアだからなぁ。
ネクロマンシーに対抗する為にはネクロマンシーに精通しなくちゃいけないなんて事は考えてみれば当たり前の事なんよね。『敵を知り、己を知らば、百戦危うからず』ってのは、こう言う場合にも当てはまる訳だ。
何にせよ、疑似魂に魔力を混ぜるって事が出来ないと、何にも成らんわ。
『【困惑】むぅ、流石にネクロマンシーは専門外過ぎるのデス』
『【嘆息】そもそもが神のご意思に反する行為な訳ですから』
まぁ、そうなんだろうな。何か色々と聖弓に聞いた所によると、疑似魂とは言う物の、神から、魂として確立する前の言わば【ソウルオリジン】とでも言うべき物を借り受けて使用している様な物らしい。
何と言うか、あれだな、エミュレーター。聞いてる限りだと、そんな感じ。
だからこそ、本来であれば、魂そのものがエネルギー元でもある訳なんだけど、疑似魂は、別途、活動する為のエネルギーを注いでやらなくちゃいけないんよね。
……あれ? 疑似魂にはエネルギーとして別の物を注げるんだよね? 実際、俺もオファニムやケルブにプラーナを注いでる訳だし、普通の場合は【魔力】を注いでる訳だし。
「なぁ、疑似魂は、【魔力】とかをエネルギーに出来るんだよな?」
『【苦笑】何を今さらデスゥ。オーナーだってタップリ、熱いのを注いでるデェス!!』
言い方!!
「それって、つまり、【魔力】を魂に合う様に加工してるって事だよな?」
『【納得】言われてみれば、そうデス!』
『【嘆息】疑似魂のエネルギーは注がなければいけないなんて事、当たり前の事過ぎて疑問にも思っていませんでした』
まぁ、動かす為にエネルギーが要るって事になってたら、それを注ぎ込むのは、まぁ、ある意味当たり前の事だわな。
前世でだって、車を動かすのにガソリンが必要だって事は知ってても、具体的にどんな風な作用で動いているのかを知ってる人間が、どれだけ居たんだか。
まぁ、それは兎も角、【魔力】の方を“加工”すれば、疑似的なネクロマンシーが出来る可能性は有るってこった。




