こういう時は、兎に角『いいね』するのが常識だと後で言われた
食事も終わったんで、再び買い物に。今度は小物だとかアクセサリーらしいが、さっき洋服屋でも、同じ様な装飾品選んでなかったか?
結局買ってるのは、ネックレスだとか指輪だとか髪飾りだとかな訳だし。
まぁ、イブ達はリボンだとかも買ってるみたいだけんども。
あ、ミカやバラキにもリボンくらい買ってやった方が良いかね? ウリとかは要らなさそうだけど。むしろ肉塊とかの方が喜びそうだしな。
てか、デザインが違うってのは分かるが、正直、洋服屋で買ってた物との違いってのが良く分からんのよね。
「これは、普段使い用なのよ?」
「あ、はい」
ナチュラルに思考を読まれた! 前に第二夫人に聞いた時には、『母の愛です!』とかって言ってたけど、ここまで正確に思考を読み取れるものなんじゃろか? 母の愛。
それはそれとして、洋服屋で選んでた物とは、やっぱりなんか違うらしい。いや、トータルコーディネートで選んだ一点物と、様々な普段着に合わせる小物が違うってのは分かるが、使い回しとか出来んのだろか? って思いがどうしてもなぁ。そもそも庶民だったんで。
『【疑問】魔族と対峙したり、【邪竜】を一刀両断できる庶民ってなんデス?』
……いや、今になって思い返せば、色々あったあれやこれやが俺が【プラーナ使い】だったからって事は分かるが……
「少なくとも生活そのものは庶民だったよな?」
「!!」
「えっ!!」
そこで驚いた顔するのは止めて貰えませんでしょうかね? イブさん。ジョアンナさんも思わずって感じで声上げてるし!!
「トール、様、普通、に、生きてる、庶民、早々、死に掛ける、少ない」
「あ、はい」
イブに真剣な顔でそう言われた。はい、その節は散々ご心配をおかけしました。
考えてみれば、生まれた数日後には逃亡生活始めて、公都から脱出した上に森の中で自給自足始めてたんだから、普通の庶民の生活なんざ、よう知らんかったわ。
それ以前に森の中で生活してる庶民なんざいなかったんだから、庶民生活とか言うのも無理があったか?
いや、でも、それを解決した後は普通に公都で生活してたんだし、普通の庶民生活をしていたと言っても過言ではないのでは?
「トール様、庶民は普通、公爵家の屋敷に誰にも気づかれずに侵入したりはしないものです。第一、孤児達をまとめ上げ、孤児院もどきを自ら運営し、冒険者となって『魔物狩り』と言う二つ名を得る程に魔物を狩まくれません」
「あ、はい」
うん。大変ごもっともでした。てか、『魔物狩り』とか呼ばれてたの? 俺。それ、初耳なんですけど!?
「でも、私は、トールちゃんが会いに来てくれて、とっても嬉しかったわ」
「あ、うん」
第二夫人のフォローが心に染み入るわぁ。会いに行ってたのは確かだけど、会いに行かざるを得なかったと言うか、第二夫人、あの状態で放置とかできない状態だったし、俺の生みの親だって事を差し引いたとしても、普通、見捨てるとかって選択肢は無いじゃろ? 人として。
でもそうか、常識人であるジョアンナさんから見ても、庶民とは言い難い生活してたんやな。俺。
「どんまい!!」
俺の肩をポンッと叩き、ラミアーがそう言う。
いや、煩いよ。ウインクして、舌をペロッとか出しながらサムズアップをしてってのじゃなければ素直に聞けたんだろうが、そのポーズで全部だい無しだよ!!




