こういう輩は、どこにでも居る
一寸、寝落ちをしてしまいました。
遅くなって申し訳ない。
気配が近付いて来てた時には、ミカ、バラキ、ウリ、ラファは、皆を護る様に移動を終えていた。
部屋に乱入して来たドルビーだかボンビーだかってオッサンは、怒り心頭って感じで入って来た割には、俺達の顔を見た途端に、ニチャアと、厭らしい笑みを浮かべる。
うん。マネージャーさん、申し訳ないって表情だけど、下手に貴族に手ぇ出したら色々拙いってのは分かってるから、取り敢えず衛兵呼んだっさい。
そんな、意味を込めて頷いてやると、マネージャーさん、笑みを浮かべて、近くの従業員に何やら指示。あ、マネージャーさんは残ってくれるんね。
まぁ、証言とか必要だしな。
「ふむ、儂の部屋を勝手に使って居ると聞いて、どんな不逞の輩が居るかと思えば、なかなかどうして、綺麗処が揃って居るではないか」
「ドルヴィ様! この部屋は決して貴方様の物と言う訳では……」
「煩い!! この儂が『気に入った』と言ったのだ!! 貴様等平民は『喜んで』差し出すのが筋であろうが!!」
えー、この人、お店の個室、勝手に自分のモノだとかって言っちゃってるの? しかも差し出して当然って事は、キープ料を払ってるとかって事でもないんだよね?
てか、エリスん所に、こんな勘違い貴族が居るとは思わんかったわ。
『【成程】オーナー、もしかして、コイツ等が、例の貴族連中なんじゃないデス?』
例の?
……ああ! 国王と皇帝のどちらにも付かなかったってぇ風見鶏の癖に、エリスが王座を取った途端に『最初から味方だったんで褒美をくれ』とかって宣ってるとか言う?
『【肯定】そう! デス!!』
居たなぁ。そんな奴等。俺が呆れて溜め息を吐いてると、ドルベーとやらは、ズカズカと個室に入ってくると、ラミアーに手を伸ばす。
「だがまぁ、良い。これ程の上玉を用意したと言うなら、今回の件、不問にしてやっても……」
パァン!!
「なに、人の家族に手ぇ出そうとしてやがる」
俺が、そのラミアーに向かって伸ばしている手を途中で払いのけると、貴族のオッサンは、一瞬、呆けたような顔をした後、顔を真っ赤にして、『キサマァ!!』とかって激昂する。
「あのなぁ、貴族だからと言って何をしても許されるってぇ訳じゃ無いんだぞ?」
当然だが、この国にも“法”って物はある。その中にはこんなことをしたら罪に成るなんて事、勿論書いて有るわけだし、それに違反した場合の罰則だってちゃんとある。
貴族だからと言って、どんな事をしたって許されるってぇ訳じゃない。下手すりゃ貴族だった場合の方が罪が重くなる場合だってある。
「ぬぅ!! 綺麗な顔をしておるからと優しくして居ればつけあがりおって!! もう、容赦はせん!!生まれて来た事を後悔する羽目になるぞ!!」
ほほう? 生まれて来た事を後悔とな? よろしい! では戦争だ!!




