実は傘と帽子も売っている
前世で読んでたラブコメ系の定番であるファッションショーは無かったけど、服に合わせたアクセサリーも買い揃えんちゃならんってぇ事で、宝石やらパンプスやらもジャラジャラと出て来て、長居確定。そうか、時代はトータルコーディネートか。しっかし……
「洋服屋なのに宝石とかも置いてるんな」
「あたり前田のクラッカーですよお坊ちゃま」
……アンタもその言い回しするんか、ジョアンナさんよ。
「お坊ちゃまは止めてくれ、何処に耳が有るか分からんのだし」
「失礼しました、お◯ちゃまくん」
「余計、悪化したんだが!?」
てか、何故『お◯ちゃまくん』? 俺、あんな風な二頭身鏡餅体型に見えるんか!? いや、それ以前に何故知ってる?
「成程、ラミアー様に聞いた通りの反応ですね」
「なん、だとっ……」
てか、ラミアーの仕込みかよ!! むしろ、何であいつはこう、前世の話を知ってるのか!! って、そう言や、【精神感応】で、俺の記憶を読んだとか言ってたか?
だったとしても、選択する話題のチョイスが謎過ぎるんだが!? 俺ですら子供だった時代の話を持ってくるて!! 何故だぁ!!
「坊やだったからさぁ」
「子供が坊やなのは当たり前だろうが!!」
当然の事を何故言うラミアー。
「て、言うか、お前は参加しないのか?」
装飾品を首元やら髪やらに充ててはキャッキャウフフと語らう女性陣に視線をやると、ラミアーは溜め息交じりに苦笑する。
「たかが石っころ一つ位」
……何だろう、色々とニアミスしてる気が……
「伊達じゃない?」
それだ!! とばかりにラミアーが両人差し指で俺を指し示す。ゲ〇ツに見えるが、これもワザとか?
どうやら、ラミアー、前世の俺が小学生から高校位の記憶から選択してるっぽいな。ゲ〇ツは違うが。
と言うか、前世の記憶を読めるって、【精神感応】とは、ちょっと違うくない?
「冗談はこれくらいにするけど、あんまりアタシは拘束される様な感じの装身具は付けたくないのさぁ」
「ああ……」
恐らく、研究所に捕まって、即ホルマリン漬けにされたってぇ訳じゃ無いんだろう。眠りに着かされる前には、実験とか、色々されたであろう事は想像に難くない。それこそ、体には色々と着けられ刺されもしただろうさ。
「まぁ、嫌ならつけなくて良いんじゃね?」
それでなくとも白髪赤眼に、抜ける様な白い肌をした目の覚める様な美少女なんだし、余計な装飾品の方が、むしろ邪魔になるだろうよ。
「トールンはやさしいねぇ」
ラミアーはそう言うが、そんなに優しかねぇだろう。嫌ならやらなくて良いなんて事も、相手がそれ相応に判断が出来ると感じたヤツじゃないと言わんし。
「まぁ、ちゃんと新しい洋服は決めたから、安心しなよぉ」
「それに関しちゃ、心配はしてないよ」
そもそも、ラミアーが、服とかに興味ないってのは分かってたからお願いしたんだし。
「そう? ちゃんとトールン好みのゴスロリファッションにしてあげたんだからね!」
「別にゴスロリ好きじゃねぇんだが!?」
てか、おまいにゴスロリはハマり過ぎだろうよ!!




