光教会に着いてみた
「良くぞ!! 良くぞ、参られました!! 神子様!!」
……え? 何これ?
光教会の大聖堂前には、ずらりと並んだ教会関係者。所謂、神父、修道女の皆さんが列を成して並んでいて、丁度正面には豪奢な祭服を着た司祭さん。その方が重低音の良い声を響かせて、多分、俺を歓迎する言葉を紡いでくれているんだろうとは思うんだが……神子、ねぇ……
いや、神子が何なのかは知ってるねんで? てか、今回ラミアーが一緒な時点でそう言われるのも覚悟はしてたし。たださぁ。
『【肯定】確実にオーナーの方を向いて言ってるデス』
思わず、ラミアーの方をチラ見して見たけど、ラミアーはラミアーで、『関係ありません』みたいな顔して居やがるし。
『とーるんは、あたしのかみこだよぉ』
「ちょっと黙ろうかセフィ」
いや、それよりも、何この大歓迎っぷり。顔を見れば、戴冠式の時に居た司祭さんとは別の人なのは分かるんだが、やっぱり、前任の司祭さんは更迭されたか、処罰されたか。
まぁ、元々の顔ぶれなんかは分からんから、トップだけ入れ替えたのか、それとも全員がマルッと入れ替わってるのか迄は分からんがね。
もっとも、邪神崇拝に関わって居たのは、トップである前任司祭周辺だけだとは思うけど、多分、下の人達とか前任の邪神崇拝者だった司祭とは関わって居ないとは思うし。
もし、魔人族国の光教会関係者が全員邪神崇拝者だったりしたら、それこそ、今ここに光教会なんざ残っちゃいないだろうからなぁ。
てか、この熱烈大歓迎を見て、『当然だ』みたいな顔でムフゥと鼻息を荒くしているイブさん。普通、教会の関係者がこんな風に出迎えなんかしないもんだからね? 『ふわぁ、凄いです』って感じで感動してるティネッツエちゃんも、これ普通じゃないって分かってね?
「えっと、盛大な歓迎、恐れ入る。トール・オーサキ名誉伯爵だ。今回は、こちらの見学を快く受け入れてくれて、感謝する」
「そんな!! 我ら、光教会一同、神子様の申し出を受け入れないなどと言う事など、ありえない事でございます!!」
おおう、テンション高っけえなぁ! おい!! てか、やっぱり、俺の事を見ながら“神子”って言ってるって事は、ラミアーを見てって訳じゃないって事か。
いや、一部神父、修道女の方々は、ラミアーを見てざわついてるから、ラミアーの事も認識してるって事ではあるだろう。何せ、光教会の【禁色】である“白”を纏った白子の少女な訳だし。いや、ラミアー魔物だけど。って言っても、見かけだけだと普通に少女だけんども。
まぁ、それは兎も角、“俺”を見ながら神子って言ってるって事は、やっぱり、戴冠式の事件の時、俺のあの姿は見られていたって事だろうな。
一瞬だったし、もしかしたらってぇ一縷の望みに賭けてもみたけれど。
いや、あの時、身バレするのは不味かったから正体を隠してたけど、今と成っちゃ、表の顔も出来上がってるから、正体ばれはそれ程、致命的とは言えなくなってるのか。とは言え、“神子”呼びは勘弁願いたいんだがねぇ。




