魔人族国に来たとです
確かに今の俺は、ドラゴンスレイヤーで、魔人族国の名誉伯爵で、この大陸の王国の辺境伯ではあるけんどもよ、この扱いは一寸慣れんのよね。確かに獣人の王国の元軍務卿やら宰相さんやらには近しい扱いは受けちゃ居るが、それでも俺が、あんまり、そう言う扱いが好きじゃないってぇ事が分かってるからなのか、一定の距離とかを置いてくれて居るからなぁ。まぁ、侍女さんは除く。むしろあの人はグイグイ来るし。
「“白の神子様”に於きましては、この度は我が国の教会へご足労いただき、大変光栄に存じます」
何か威厳たっぷりの法衣っての? アレに身を包んだ穏やかそうなお爺ちゃんが、とても敬意を払った態度で俺に頭を下げる訳よ。いや、本当に勘弁してくれって感じな訳だわ。
そう言や、エリスの戴冠式のあの事件以降、魔人族国に来たのは始めてだったけか。え? 結局、最後のアレって、完全に見られてたって事で良いんかね?
だとしても、神子様て……
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魔人族国の王都には問題なく到着し、その居城に着いた訳だ。一応、俺、この国でも爵位を賜ってる訳で、名実共にお偉いさん扱いなせいか、町中走ってても、住民からの歓声とか凄かったんだわ。
まぁ、それだけじゃなく、こうして城内の兵士ってか近衛の人だよな? 制服の紋章視てる限り、そんな人にも嬉々として案内受けてるって時点で何と言うか、背中がくすぐったい感じなんよね。
『【苦笑】お偉いさんだから喜ばれてる訳じゃないデス。オーナー、この国では英雄の1人だって言う自覚をもっと持つデス』
英雄かぁ、なんだろうね、とても自覚とか持てる感じじゃないんですわ。俺の頭の中にある英雄像と、俺自身のギャップがなぁ。
何と言うか、俺の頭ん中で英雄とか言われると、どうしてもムキムキマッチョなヘラクレスだとかジークフリートだとか、市長だとか州知事だとか、そんな感じで。
じっと自身の腕を見る。7才とかって年齢を顧みても細すぎじゃね? 普段から【身体能力向上】使ってるからなのか? 実質、筋力を使ってないって事なんかね? やっぱり、そう言った能力だけに頼って居るってのは不自然な感じなのかねぇ。いや、そうは言っても、コレ使ってない状態の方が目立つからなぁ。俺。
いや、ラミアーなんかはそのまんまで過ごしてるけんどもよ、どっかで見切りつけて覚悟を決めた方が良いのか、それとも、生来の能力で、ずっと使っているんだから、このままこっちの姿の方をありのままの姿として受け入れた方が良いのか、未だに結論が出て無いんよね。
ただなぁ、“光の神子”か“闘神の分身”、どっちにしろ普通の生活って送れなくね?
『【嘆息】オーナーが“普通”の生活が送れるとか思ってる時点で、想定が甘すぎなのデス』
だまらっしゃい!




