うぉおおぉい!!
ギルドマスターからの報告によれば、魔蟲の分布は確かに変わりつつあると言う事だった。
変わりつつあるって事は、未だに安定はしてないって事で、まだ、その変化が普通の魔物の方にまで影響は与えてないって事だ。……普通の魔物ってのも結構なパワーワードだよな。
でもまぁ、大森林内で、何がしかの変化が起こってるってのは確かなんだし、ギルドマスターの方には、引き続きの調査を依頼しておく。
『【疑問】また、何か厄介な魔物でも出現したデス?』
冒険者ギルドから出た辺りで、ジャンヌが俺に聞いてきた。確かに、今ある情報だけで考えると、その確率が高いんだが。
「わん!!」
「わん? アオン!!」
「倒、す、よ?」
それを聞いて、フンスと、鼻息を荒くする三人娘達。いや、そうと決まった訳じゃないからね? ……ミカとバラキは兎も角、イブさんもすっかりやる気ですなぁ。逞しく育ってくれてるのは嬉しいんだけど、若干、血気盛んな所がなぁ。
取り敢えず、大森林内部での何かの変化が有るってのは確かでも、その原因まではまだ分かってない。もしかすれば、あの、サラマンダーだとかニーズヘッグだとかみたいなんが、また現れてる可能性もあり得るって事なんよね。まだ確定ではないんだけんども。
ただ、そう言った原因の特定もさる事ながら。それによってもたらされる事態も無視は出来んのよな。また、大森林内からのスタンピートが起こったりだとか、古代兵器が復活したりだとかされたら、堪ったもんじゃないし。
兎に角、何が起こるのかも分からんから、その辺の備えもせんとあかんかなぁ。
取り敢えず、街の防御関係からの見直しと、もしもの時の為の避難時の街道のチェックと、最悪、籠城する羽目になった時の為の備蓄の確認と……いや、だから、備蓄が心許ないって話じゃんか。その為に輸入増やしたいって話を魔人族国女王としてたんじゃねぇか。
うわぁ、その辺の計画、練り直しかよ。取り敢えずは魔人族国にも、大森林内の変化については連絡しとかんとなぁ。まだ確証は薄いけど、少なくとも何がしかの変化は起こってるねんで、と。
「ジャンヌ、頼めるか?」
『【了解】オッケーデス!! 聖弓に連絡しとくのデス!』
そう言えば、こういう時、大概聖弓の方に【念話】飛ばすよな。確かにエリスお付きのの秘書みたいな立ち位置に成ってるから、分からんでもないんだけんども、聖剣の方はどうしたんよ?
あいつ、まだ元国王付きの監視役やってんのか?
『【肯定】そうみたいデス』
「……宝の持ち腐れじゃねぇか?」
文字通り。聖武器シリーズって国宝級だよね?
『【否定】宝物庫で埃被ってた時より何ぼかマシデス』
そんなもんかね?
『【肯定】そんなもんデス』
まぁ、ファティマもジャンヌもそうだったけど、武器として使われてるって事にアイデンティティーとプライドを持ってるみたいだから、そんなもんかもしれんよな。特にエリスパパ、剣の腕だけで言えば、魔人族国随一らしいし。
下手な輩に使われるよりは、ちゃんと使う事の出来る人材の近くに置いておく方が良いとかって事なんかね? 結局の所、色々姉妹の中で序列だとかなんだとかって、ライバル関係にある様な感じだけど、なんだかんだ言っても家族みたいな物なんだろうし、コイツ等はコイツ等で、お互いの事は思いやって……
『【闇笑】実質、使われない武器として、元国王共々飼い殺しデス』
うぉおおぉい!! 色々と台無しだ!!




