領地を広げましょう
家の領地は、基本、大森林の中に魔獣を狩に行くか、ここでしか取れん薬草やら何やらを採取する冒険者連中と、魔人族国や、国境沿いの領地へと赴く商人や旅人何かによって外貨を稼いでる。
それ以外だと、被服関係やら、エクスシーア商会の売上なんかか。
特に家に金を落としてくれるのが冒険者連中で、冒険者ギルドに始まって、酒場、食事処、宿屋、それに歓楽街的な場所なんかの他、武器屋、防具屋、素材屋、薬屋、肉の卸売りなんかも商売としては付随してる訳だ。
つまりは冒険者連中が来るってだけで、これだけの需要と供給が生まれるってこったな。
そんな、冒険者に対しての家の領ならではの売りとしては、そもそもが大森林の内部を開拓して作られた街だって事で、高級な素材の取れるレベルの高い魔物を割と安易に狩に行けるって所だろう。
もっとも、そう言った魔物を狩る為には、それ相応の実力が必要な訳だけれども。
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「依頼を頼みたいんよね」
「ほう、どう言う依頼ですかな?」
冒険者ギルドで俺に対応してくれたのは、家の領地ってか街の冒険者ギルドのギルドマスター。ジョンソンさんだ。
この人は元々公都のギルドで事務方をしてた人物で、ぶっちゃけ、俺が公都で良く使ってた受付に居たおっちゃんなんだわ。
本当なら、グラス辺りを引っ張って来たかったんだが、『流石にそれは困る』って、王都のグランドマスターに言われたんで諦めた。
どうせ公都の方のギルドも複数あるんだから、その内の支店一カ所から、連れて来ても構わん様な気がするんだがねぇ。
まぁ、それは兎も角、本来なら領主なんだから、領館にギルドマスターを呼び出したって良いとは思われるし、実際、『呼び出してください』とも言われてるんだが、こっちが頼む立場なんだし、俺が足運んだって良いだろうよ。とか思って、毎回、依頼の度に足を運んでいたら、その内ジョンソンさんも諦めて……ではなく、納得してくれる様になったわ。
さて、今回俺が依頼しに来たのは森の開墾と、それに伴う開墾従事者に対する護衛……の、前段階の為の、周辺の魔獣討伐だ。
まぁ、魔獣の討伐に関しては、ほぼ常設依頼って事に成るんで、今回は、魔物討伐に対する補償金を出して、買い取り価格なんかにボーナスを加えてやってくれって言うお願いの為だな。
要は、魔物を討伐する系の依頼達成時の金額をちょっとだけ上げてつかーさいってぇ、お願いをしに来たってぇ話なんよ。
人口増加による食料不足を解消する為に、森を更に開いて、農地を広げる事にした訳なんだわ。
森を開墾してから農地へと作り変え、その上で作物が問題なく出来る様に成るには、それ相応の時間が掛かる。なんで、この政策の結果が出るのは、随分と先の事に成るだろうが、そう言った事を計画するのも領主の仕事なんでね。
短期的には、輸入で賄うしか無いが、今後を見据えるなら、開墾は必須に成る。上手くいってくれると嬉しいんだが……まぁ、どうなるかねぇ。




