事の顛末
「トール、様、はっ、無茶、ばっかり、してっ!!」
「そう、です! ぐすっ、あんな! あんなになってて!! ど、ぐすっ、どんなに、心配したかっ!!」
「……」
「……」
イブとティネッツエちゃんが泣きじゃくりながら俺の胸にしがみついている。バラキとサイレンが、何でか俺の顔をペロペロと舐めてるけど。てか、何でサイレンが居るんよ。
んで、ラミアーとセフィは無言のまま、左右から俺をガッチリとホールドしてるし。いや、逃げんよ? むしろ何から逃げると思ってるんかねぇ。それとも何か? 今度は、置いてかれない様にってか? でも今回、俺が先行したんは、あれ、そう言う作戦だったからじゃんねぇ。
ミカさんや『あらあらウフフ』ってな感じで見てないで、何とかしてくれませんかね? 無理ですか、そうですか……
「あー、いやほら、今回は皆が来るまでは意識を保てて居た訳だし……あ、はい、御免なさい」
睨まれた。
街の、ギルドで借りた宿の一室。家の子等に囲まれながらも、ちょっと困惑。前見たく、丸々一日寝込んでたって訳じゃないんだがねぇ。
にも拘らず、皆から全員一致で強制的に安静にさせられてる訳だ。〇ムチャしやがって ってなぁ。
いや、言い訳をさせて貰えるなら、あんなん出て来るなんて思わんじゃんか? 普通、予測なんて出来るかよ。
そう言ったイレギュラーが起こった事を考えれば、今回、対処としては、それ程、間違った事もやってない訳だし、結構上手くやった方だと思うの。
『【嘆息】多分、そう言う事じゃないデス。オーナー』
うん、分かってる。あの場合は俺だけでも撤退するべきだったってんだろ?
「けどなぁ……あ、はい、御免なさい」
睨まれた。
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今回、あそこに居た邪神……アイツ等の言葉的に言えば“真なる神”崇拝者は全員ミカやイブ達の手に依って捕まった。
とは言っても、あの場に居たのは半分程に満たなかったらしいけれども。
いやまぁ、その居なくなった半分以上のメンバーは、邪神の御元に旅立った訳なんだけどさ。文字通りに。
そう言や、あの影使い、どうなったんだろ? まぁ、良いか。どうでも。
生贄にさせられかかった子供達も全員無事に保護されて、まぁ、衰弱の激しい子も居るけど、概ね問題ないって感じだそうなんだわ。
結局、誘拐の目的は、生贄の為。それも、生き残った崇拝者の話だと、指導者の覚醒イベントの為だったらしい。いや、ゲーム的な感じで覚醒イベントとか言っちまったが、要するに【魔族化】の事な訳だ。
つまり、その指導者を邪神の【加護】を貰って【魔族】へと転生させようってのが、今回の行動目的だったらしい。
まぁ、そんな事を考えたのも、あの地下古代遺跡を見つけたかららしいんだが。その為に“虎の子”だった影使いも用意したらしいんだが、結果は見ての通り。
まぁ、無駄に大事に成らなくて良かったわ。




