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vs影使い

 本来、光が充分に届いてないが故に、周囲より暗くなっているってだけの状態である“影”が実体を持って襲って来る。何とも理不尽かつ驚異的な状態だ。うん、ファンタジー、ファンタジー。


 恐らく、対象が視界に入って居ないと効果を発揮できないんだろうとか予想してたんだが、どうやら、それは正しかった様やね。

 けど、だからと言って俺からも見える位置に出て来たのは悪手だと思うんだが。

 影使いが、俺の姿を捉えられる様にか、場所を移動しながらこちらに掌を向ける。その上で、連発して攻撃を仕掛けて来るかと思えばそうでもないな。

 俺はさっきまでと同じ様に、手近な覆面男を転がしながら襲って来る影をヌルリと避け続ける。


 仲間を巻き込まない為かとも思ったが……ああ、俺が覆面男達の足元ウロチョロする様に動いてたんで、遠くからだと良く確認できなかったんで近くまで来たが、その上で俺の姿を完全にとらえる事が出来てないってだけか。そこまでは意図して無かったんだが、近くに来てくれたってんなら結果オーライだわ。

 ここまでで、影使いの特性は幾つか掴めた。影を動かせるのは、その対象が視認できている事。影自体はその時の面積に比例してる事。そして、恐らく自らは対象に出来ない事。まぁ、そりゃ、視認が条件なら自分自身は対象に出来んわな。

 てか、思ったよりも使い勝手の悪い能力だわ。


「くっ、ちょくまかと!!」


 思ったより若いってか幼い声だな。いや、そもそも小柄だとは思ったが、もしかして子供なのか? だからと言って、俺が手心を加えてやる理由にゃならんがね。何せ誘拐犯。多分、生贄にするなんて事は分かっててやってる事なんだろうから、情状酌量の余地なんざありゃしない。


 ブラインドに成っていた覆面男の後ろから、影使いの正面に飛び出す。


「はっ!! 馬鹿が!!」


 影使いが俺を馬鹿にした声を上げる。まぁ、俺の考察が正しければ、影使いにとっては千載一遇のチャンスな訳だしな。と、俺の足元の影がブワリと立ち上がり、俺を飲み込もうとする。


「お前がな」


 俺は一瞬で空中に飛び上がると、影使いの背後に密着した。自分の能力で出した影で、俺の姿を確認できなくするってアホじゃなかろうか?


「は? うわぁ!!」


 背後に回った俺は、即座に影使いを裸締めにすると、即座に締め落とした。締め技って、勘違いが有るけど、別に呼吸を止める技じゃないんよね。頸動脈を圧迫して脳に送られる血流を止めると、数秒で意識をブラックアウトさせる事が出来るんよ。

 良し、影使い(こいつ)だけは、確実に意識を刈り取っておきたかったからな。

 もし、この後、イブ達が来たとして、攫われた子供達を守るために【防壁】系の術を使ったとしても、影使いなら、その中の子供達を更に攫うって事も出来た筈だからな。


 そうなると、せっかく人質ってぇ選択肢を潰してたにも拘らず、それを覆面男達に思い出させるってぇ事にも成りかねんかったんで、ここで潰せたんは行幸だったわ。

 いや、俺だったら、人質とか居ても通用しないよ。その前にどうにでもするし、ただ、イブ達はなぁ。優しいから。


 それは兎も角、影使いは覆面男達の中でも実力があった方なのか、それをアッサリと無力化した事で、周囲の男達が明らかに怯んだのが分かった。


 まぁ、突然足元から攻撃出来るってぇ特性考えると、強いんだろうけど、俺が今まで相手にしてきた奴らと比べると、一枚も二枚も劣ってるのは確かなんよね。


 相手が悪かったと思ってあきらめて貰おう。うん。

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