儀式をぉ、ぶっ潰す!!
「さあ!! 偉大なる“真なる神”の栄光なる贄と成るが良い!!」
子供達の周囲を逃げ出さない様にか、剣を突き付けながら囲い込む覆面男達、その外側を更に囲う様に立っている男達が何がしかの呪文の様な物を唱え始める。
って、床に、これは魔法陣か!? 淡く光る六芒星。その形状が、俺の記憶の中でヒットする。
ああ!! そうか!! 俺達を引き摺り回していた時点で、この儀式は始まってたのか!! 何か無意味に遠回りをさせられて居たと思っていたが、思い返せば、アレ、一筆書きの六芒星の形状じゃねぇか!! つまり、地下へと下る緩やかな湾曲した傾斜は、魔法陣の外円部分か!! そして地下には一回り小さな六芒星の魔法陣。それに俺達が居るのはその中心! つまりは、これ、大掛かりな生贄を捧げる祭壇だったって事か!! 不味い!! つまりは既に仕上げの状態に入ってるって事か!!
今まで子供達を集めて居たのは、つまり真なる神とやらに生贄を捧げる為で、それが、今日、揃ったって事か!? 何てタイミングだよ!!
いや、逆だ!! 今、このタイミングで俺が滑り込めなかったら、次のチャンスなんざ無かったって事で、それはつまり、儀式が完了しちまってたって事だ!! そうなって居たら、当然、この子供達は……
当然だが、俺は子供達を使わせるつもりはない!!
俺は、瞬時に【身体能力向上】を発動すると、その場から跳躍する。
「なぁ!!」
そんな俺の行動に、予想なんざ出来なかったらしい覆面男達が、驚きの声を上げた。だが、どうやら呪文を唱えるのに集中していたらしい男達の方は、未だに詠唱を続行している。これで呪文が中断してくれていれば良かったんだが、まぁ、仕方ない。
俺は即座に腕だけに【魔力装甲】を展開し、指先から【プラーナビーム】を発射する。
「がっ!」
「ギャ!!」
「グワッ!!」
相変わらず命中精度が悪い!! 【プラーナビーム】は、何人かの男達には命中し、その詠唱を中断するに至ったが、しかし、全員と言う訳にはいかなかった。
それでも、覆面男達の動揺を誘うには充分だったらしい。俺と、ビームに撃たれ、呻き声をあげる仲間との間を視線を彷徨わせる者、ただ呆然とする者、俺を攻撃しようとするも、剣が届かない位置までジャンプしてる為、闇雲に剣を振り回す者と、纏まりなく動き出す。
良し、思惑通り、俺に意識を向けられた!! 今の状態なら、子供達を人質にしようって方向には意識は向かんだろうよ。
ただ、まだ、儀式そのものを中断出来た訳じゃねぇ。これが完成したらどうなるのかは分からんが、絶対に碌な事にゃならんだろうさ。
最優先事項は子供達の安全な確保だが、儀式の邪魔をしてればそれもやり易いだろうからな!! 精々、引っ掻き回してやんよ!!




