表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
560/1159

【封印】するのも仕方がない

「最近、お見限りだったのじゃ」

「何でおまいが居るのかと問い詰めたい」


 小料理店の女将か! どんな言い回しだよ!! てか、俺は隣国の女王(エリス)を呼んだつもりは無いんじゃが!?


『【謝罪】そこは、申し訳ありません。わたくしが、個体名【エリステラレイネ】の護衛を兼ねている以上、どうしても、この様な形になってしまうのです』

「いや、必要だから聖弓(アンタ)を呼んだのはこっちなんだから、国の都合上仕方が無いってのなら、謝罪は良いよ。でもまぁ、その謝罪は謹んで受けるわ」


 色々と面倒臭ぇが、謝罪されて受けて置かんと、“許さない”ってぇ事に成っちまうしな。特に貴族は。

 むしろ、当のエリスが、聖弓(ごえいやく)ぶっちぎって、家の領に来る事がままある方が問題なんだわ。今回は、正式に聖弓(ロボセイント)を招待した事もあって、御一行様は普通に許可を取って来ている訳だが。


()()()()国境の砦を使っただけ、マシだと思っておこう」

『【嘆息】隣国の領主にそう思われる女王と言うのが、そもそもどうかと思うのですが……』


 それに関しちゃ、激しく同意だけんどもよ。


 まぁ、エリス(それ)はさて置き、ロボセイントを今回招いたのは、バスト対策の為だ。あん畜生、能力押さえる気が無いってか、垂れ流しにしやがってる割には閉じこもってるのが嫌らしく、しょっちゅう隔離施設(ダンジョン)から出てこようとしやがる。

 ぶっちゃけ、完全に閉じ込めておいた方が良いって気もするんだが、特に悪い事を企んでる訳でもなく、被害としちゃ、()()()倒れるメイドや兵士が多くなったってぇ程度。いや、それでも充分問題なんだが、ただ、本人にいくら言っても、ある意味、体質みたいなものな訳で、それを理由に監禁ってのも心情的には心苦しい。


 そもそも、ちらっとでもバスト相手に敵対心とか警戒心とか持ってなければ、影響ないっぽいんだよね。大人の家人より年少の子等の方が被害が少ないのが、それを証明してる気がする。あとマトスンとヴィヴィアンも。あいつ等興味のある対象以外、割とどうでも良いらしいし。

 もしかすると、第二夫人(ママン)が影響を受けなかったのも、バストに対して、含む所が何も無かったのが理由かもしれんな。


 それはそれとして、その第二夫人にバストが気に入られたってのも、監禁するわけにはいかない理由の一つな訳だ。お茶会するとかって約束もしちまってる様だし。


 あの後、ジャンヌに相談した所『【名案】ボクに良い考えが有るデス』とか言って、ロボセイントに頼む事を提案された訳だ。

 まぁ、あの名言、人事に関しちゃ優秀だった訳だしなぁ。


 で、その内容なんだけど……


「何ニャ? とうとうダーリンがウチの愛に答えてくれる気になったのかニャ?」

「寝言は寝て言え」


 いや、そう言えば、寝言だって深層意識の顕現ではあるんだから、別に妄想垂れ流しってのは同じって事に成るのか。


 では、なく。思考が逸れまくったな。


 要は無意識でも能力を発動しちまってるってのが問題なだけで、その能力を抑え込めれば問題は無いって事に成る訳だな。

 隔離区画でバストの能力を抑え込める事からも分かる通り、それ自体は出来ない訳じゃぁ無い。ただ、【精霊】クラスの能力を抑え込むとなりゃ、それ相応の施設が必要に成るか、相応の能力が必要に成るってぇだけで。


 つまり、ジャンヌの提案とは、相応の力のあるロボセイントに、バストの能力を【結界】で抑え込んで貰おうって事な訳だな。


「って、事で、その制御不能な能力をロボセイントさんにどうにかして貰います」

「うっ、それって拒否は出来ないのかニャ?」

「どうにかして貰います」

「うう……分かったニャ」

『【開始】では、始めさせていただきますね?』


 そう言うと、ロボセイントが腕輪を取り出し、バストに着ける。


「ぬぅ、結婚腕輪かニャ?」

「寝言は寝て言え」

『【説明】この腕輪には、【制御結界】が組み込んであります。後は、個人に合わせてカスタマイズすれば使用できるようになります』


 そう言って、ロボセイントがバストに色々と聞きながら、腕輪から空中に投影されたディスプレイを操作して行く。

 ああ、本人に『【結界】イイイ~~~!!』とかって、何か魔法を掛けるって訳じゃ無いんな。

 何か、PCとかのユーザー登録を思い出す光景だわ。


 まぁ、腕輪付けて調整するだけっぽかったんで、それ自体は問題も特筆する事もなく、無事終了した。


『【完了】これで良い筈です』

「おう、ありがとう」


 問題なく終わり、ホッとする。ただ、元々、バストの能力は違和感なくこっちに掛かってくるから、あまり何がどうこう成ったってぇ感じはしないのな。

 そんな感想を覚えながら周囲を見回す。


「って、エリス!?」


 やけに静かだとか思ったら、昏倒してやがる!! って、そうか、バストの能力にやられてたか!!  でも、エリスも【恐怖(フォビア)】を抑え込める程度には精神力は多い筈だぞ!?


『【当然】恋のライバルとしては()()敵愾心を覚えずにはいられませんでしたか……』

「あ、本人の敵愾心やらに応じてその反応も大きく成るんだったか……」

『【肯定】はい、その様な仕様でした』


 いや、おまい、エリスの護衛だよな? 分かってたならどうにかしときなさいよ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ