何だろうね? この空間
領館の執務室で、報告書やら嘆願書やらを読みながら、前年との収支差を確認しつつ新しい予算案なんかを出す。人増えたからなぁ。冒険者とか商人とか。酪農家もか。農家の人は少ないけども。そんな事もあって、色んな所からの問い合わせとかも増えはしたが、今の所、概ね平和と言って良い時間が続いて居る。
いやまぁ、潜在的な爆弾とか問題とか、かなり有るけんどもよ。ただね、それらって結局、事が起きてみないと、手ぇ付けられんヤツなんよね。
一応、それに備えての対策は、思いつく限りやってるし、続けてるから、ぶっちゃけ、これ以上、手の打ち様がないとも言うんだわ。
国王陛下ん所から帰って来て、1週間程の日にちが過ぎた。取り敢えず、獣人の王国の方は小康状態っぽい。それが、相手が手を引いたからか、別の企みが水面下で動いてるからなのかは分からんがね。
俺が執務に従事してる間は、ミカとバラキが、護衛のつもりなのか足元に侍り、イブが専属メイドとして身の回りの世話を焼いてくている。
そしてラミアーがソファーでゴロゴロしてる所までが、いつもの状態。因みにジャンヌは今日は別行動。魔人族国の蔵書の方に【呪詛】関連の書物が無いかを調べに言って貰ってるんよね。
対応策は一応あるって言っても、放置してて良いってもんでもないしな。
で、だ。それらに加えて、今日は、普段は居ないお客さんが来ている。その所為もあって、普段ゴロゴロしてるラミアーが、今は眉間に皺を寄せながら【念動障壁】を展開しているって状態。
「それじゃぁ、バストさんは、家のトールちゃんを追って田舎から出て来たと言う事なのね?」
「そうニャ! いつまでたっても会いに来てくれニャイから、ウチから来たんだニャ」
俺は隔離区画から出てきて良いとかって言ってないんだがなぁバストさんよぉ。てか、第二夫人も、良く平然と相手してるよな。因みに第二夫人は偶々、俺の様子を見に来ただけらしいんだけんどもよ。まぁ、多分、また公都の方の情報で、何か凹む様な事が有ったんじゃないんかね? 第二夫人が執務中だってのに、態々、仕事の邪魔になるかもしれないってのに、俺ん所まで来るのって、大体それが理由だし。
で、第二夫人ね、これ、別にラミアーの【念動障壁】に守られてる訳じゃないんよ。むしろ【念動障壁】は、執務室から周囲に被害が行かない様に張ってて貰ってるだけだかんね。
バストの能力って、パッシブで発揮されるヤツだから、つまり、第二夫人、素でアレに対抗してるって事なんよね?
……うん。今、大概、俺が疑問に思ってると解説入れてくれる聖武器’Sが居ないから、どこからも【念話】が入らねぇな。
別に二人の間がピリピリしてるって訳じゃぁ無いんだが、それでも、そう前でもない時に告白じみた好意を言って来た相手と、自分の母親が、俺本人の恋バナをしてるのって、いたたまれなさ過ぎなんじゃが!?
何かもう、羞恥プレイ過ぎて仕事が手に付かないんだってばよ!! いや、嘘です。むしろ全力で仕事してるお陰で、すこぶる仕事、捗ってますとも。
てか、二人でおしゃべりしてるだけだったら、別の所でやってくれませんかね!!




