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突撃隣のダンジョン砦

 どれほど不安が残ったとしても、任せるべきところは任せるってのは、前世で学んだ事の一つではある。そうしなけりゃ、後には続かないし、お互いの成長にもつながらないからだ。


 ただ、結局の所、自身の中に持っている理想とか想像とかってのは、その本人の中にしか無くて、それを共有する為のツールとして言語ってのはあるんだが、その言語ってヤツは、使い方が難しい上に、ひどく不便なんよね。


 前も言ったとは思うが、それぞれ個人の持っている前提条件ってのが違えば、同じ事を言ってたとしても、その意味合いは全く違ってきたりする。

 特に、自身のコミュニティー内での“常識”ってヤツに慣れ切っちまってると、そう言った前提条件を()()()()()()って思いこんじまう事が多々あるからな。その所為で言葉が足りずに、思い違いやら、スレ違いやらが起こっちまうってのは、古今東西の悲劇喜劇でよくよく語られてる事で、題材としてはありふれてモノでもあるんだがね。


 まぁ、何が言いたいかと言えば。


「オーサキ伯は我々を見捨てられるのか!!」

「違うってばよ」


 そんなスレ違いのせいで、どこぞの元軍務卿が半泣きで俺の所に詰め寄って来てるって状態なんよ。


「しかし!! オーサキ伯とて、獣人(われわれ)が魔法に疎いと言うのは知っておられるはずだ!! にも拘らず、これから起こるであろう市民達の暴動に対する対応策が『【魔力】をぶち当てろ』ていう事な挙句、オーサキ伯は領地に引っ込んでしまうと言う!!」


 古代遺跡(ダンジョン)の“扉”から出た先、その砦に詰めかけた元軍務卿。一時は俺の元で鍛え直すってぇ名目で、押しかけ弟子をしてたんだけんどもよ、いや、基礎体力なら兎も角、俺に剣の扱いなんざ分からんから、ブートキャンプ後は、スーリヤん所の騎士達に任せてたんだがよ、その後、俺も色々と忙しかったから、そのまま放置に近い状態だったんだが、あまりに俺の姿が見えなかったからって、この爺さん、国王君の所まで詰め寄ったらしいんだわ。


 で、彼から事情を聞いて、今こんな感じ。


「我々、軍部を少数で打ち負かしたのは、自分達が獣人の王国の防人となると言う意思表明だったのではなかったのですか!!」

「全然違うし、何なら、その勝負吹っ掛けて来たのはそっちだったよな!?」


 何か脳内で、別の物語が進行してねぇか!?


「はて? そうでしたかな?」


 いや、確かに、先に魔族の暗躍に備える為に、スーリヤ達巻き込んだのは俺だけんどもよ。色々動いてる内に、俺がどうこうしてって問題だけじゃなくなったじゃん?

 むしろ、国を真っ二つにする様な話に成って来てたし、話の進行的には、あんまり俺が表立って手を貸してる方が不味いような感じに成ったから、色々と手助けはすれど、獣人の王国主体で動かないといけないってぇ状態に成ったんじゃんねぇ。

 だから、手は貸せども裏方に徹しようと思っただけなんだが?


 そんな事を兎に角じっくりと話して聞かせた訳なんだが……


「ふむ、ならば、ワシはオーサキ伯の所の家臣として使っていただくとしましょうか」

「いや、何でそうなる」

「当然でしょう! 他国の貴族であるオーサキ伯が、我が国の為に、そこまで骨を折るとおっしゃられるなら、我が国の代表として、恩に報いねばならぬと言うのは、もはや明白!! ならばワシが、家臣としてオーサキ伯に仕えるのが妥当と言う物!! こう見えて、元とは言え軍務卿!! 軍部を纏めると言うのであれば、ワシより適当な者はおりますまい!!」


 だから、どうしてそういう結論に成る!! ってか、武官はこれ以上要らんのじゃぁ!!

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