獣人の王国の魔法事情
ペロペロチュウチュウと楠の木状態再び。
え? この件って、伝言頼む度にやらなきゃならんの? もしかして。
取り敢えず、バストから聞いた対死霊対策、『とりま【魔力】ぶつけとけ』の事を獣人の王国と情報共有する為に、サイレンを呼んだ訳なんだがよ。
獣人の王国の砦の方に詰めていたサイレン。俺が【プラーナ】指に集めたら、エライ勢いで飛んで来たんだわ。俺専属に成ったサイレンな、さっきも言ったが、基本、獣人の王国の砦の方に詰めていて、俺が【プラーナ】で呼び出す事が出来るんだわ。
砦から王城までは、別のサイレンが往復するらしい。
で、そんな呼び出したサイレンに、伝達料としての【プラーナ】与えたら、ラミアーが背中にしがみついて来て(以下略)。って事で、こんな感じ。
イヤもう、取り敢えずコッチに許可取れやって文句言うのは、俺の我が儘なんじゃろか?
取り敢えず始めちまってるモノは、今更、止めはせんが、なるべく短時間でお願いします。
******
俺の伝言を預かって、獣人の王国に戻って行くサイレンを見送る。まぁ、完全解決とは行かなくても、その取っ掛かり程度にはなるか?
『【苦笑】まぁ、参考程度には成るデス』
「そんな程度?」
『【肯定】獣人は魔法を使える人材が殆ど居ないのデス』
「は?」
いやいや、待ってくださいよジャンヌさん。だって俺、公都で幼い時、魔法使ってる獣人の人、見た事あるよ? いや、あの人達は大分血が薄まってるんだったか。いや、でも、使ってたじゃんねぇ?
『【説明】純粋な獣人は、魔力があっても、身体強化に使ってしまうデス。なので正確には“放出系”の魔法の使い方が出来ないのデス。もっとも、例外的に使える獣人も当然存在はするデス。ただそれでも、周囲に扱える人間が居ない状況なのは変わらないデス。そうなれば必然……』
教えて貰えるって事は無いんで、例え才能が有っても、下手すりゃ、才能に気が付かないまま一生を過ごすってぇ場合もあるのか。
あれ? でも、侍女さんめちゃくちゃ使ってなかったか?
初対面で攻撃魔法使って来たし、何か土下座でそのまま飛んでた覚えとかあるんじゃが!?
『【苦笑】あれはかなり稀有な例デス。才能も有って、学ぶ事も出来たと言う、幸運が重なった結果デス』
「マジか。するってぇと、普通の獣人は魔法が使えないって事は、純【魔力】を相手にぶつけるとか……」
『【嘆息】出来ないデス』
……まぁ、情報は共有することに意味が有るからな。その情報をどう使うかは国王君と宰相さんの腕次第だな。うん。共有する事に意味があるんだし。
それに、向こうにはジャンヌが言う、稀有な天才も居るんだし。何故だろう、彼女を天才とか認めたくない俺が居る。俺が狭量なだけか?
まぁ、本当に困ったら、また、向こうから連絡が来るじゃろう。多分。




