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展開的には悪くなる一方なんだわ

 あくまで『可能性の話だが』ってぇ前提で、俺の予想も話しておいた。

 実際に、この世界のネクロマンシーが、前世の陰陽師と同等の事が出来るからどうかなんざ、分からんからな。


 それでも、俺の予想を『有り得ない』と切って捨てない程度には、実現可能な事象だったってぇ事なんだろう。

 聖女さん(スーリヤ)に話した後、即座に謁見するってぇ話になり、即日の内にその準備が整った。軽いなぁフットワークがよぉ!


「やっぱり、可能性としてあり得るんか……」


 俺がそう呟くと、宰相さんが重苦しい表情で、コクリと頷いた。そんな俺と宰相さんの様子を国王君が不安そうな表情で見ている。

 謁見とは言っても、結構内密な話に成るんで、大きめの会議室って感じの部屋に通された。

 家の方は、俺とジャンヌとスーリヤとイネスさん。国王君の方は宰相さんと護衛騎士が数人。


 今回の事で一番問題に成るのが、市民人気の高い冒険者が主導で動いている為か、一般市民の協力が得辛いって所なんだよなぁ。

 やっぱり、()()()()()()身近な相手の言葉ってのは聞き入れ易いみたいで、その上で身内贔屓ってか、親しみのある相手の方を優先しやすいからか、(こっち)が探してる物の出所がヴォルフガングだってのが分かった途端に口が重くなるんだと。


「一応、このクスリに良からぬものが混じっているとは説明したのですが……」

「……いや、多分それ、逆効果だと思うんだが」


 むしろ権力が押さえつけようとしてる感があって、反発すんじゃね?


「おっしゃる通りで、特に、若い冒険者はからの反発が強く」


 うん、そんな感じだと思った。色艶とかアレな感じだけど、目に見える効果的には『疲労回復、滋養強壮、感覚鋭化』な訳だしな。

 それを権力者ってか、国が突然『それ、体に悪いからボッシュートォ!!』とか言ったって、ヴォルフガングの人気を危ぶんでとかって感じに誤解されかねんと思うんよ。

 やるんだったら、最初に『その丸薬で不調を訴える奴とか出てるんだって』的な噂話を浸透させる所からやらんと。まぁ、その時間が惜しいってか無いかもしれんから、しょうがないっちゃしょうがないんだろうが、一寸悪手だったよな。


 これで、向こうは国の人間だってだけでかたくなに成っちまう。

 やっぱり、噂話とかだったとしても、こう言った情報の使い方って大切だよなぁ。


「取り敢えず、噂話として、丸薬で体調を崩した的な話を市井に広めて欲しいんだよ。もしくは運用の仕方で、危険がある的な、な。それで、少しでも広まるのが抑えられれば良いんだが……」

「分かりました、その様にいたします」


 そう言って宰相さんが、護衛の1人に指示を出す。


「それと、兵士には絶対に使わせたら駄目だってのは分かってるよな? いや、すでに多少は広まってるんだったか、どの程度で効果があるのかが分からんのが辛いな」

『【謝罪】ボクが、もっと【呪術】に関して詳しければ良かったのデス』


 う~ん。いや、聖武器が【呪術】とかネクロマンシーに詳しいとか、逆にイメージが湧かないんだが。むしろ忌避してそうなイメージだし、その辺は気にしなくても良いんじゃね?


「てか、ネクロマンシー何かは光教会とか天敵に成ってそうなんだが、聖女さん(スーリヤ)は、その辺の話を聞いた事って無いの?」

「むしろ、そう言った情報は教えない様にしていましたから」


 俺の質問に応えたのはスーリヤじゃなくてイネスさんだった。


「何でまた」

「聖女は純心でなければと……」

「上層部が言ってた的な?」

「はい」


 俺、こう言った所で『自分の考えた理想の聖女!!』とかってリアルにやる老害ってどうかと思うんだ。情報は平等に与え、むしろ積極的に自身の判断で考えさせんと。まぁ、情報を限定した方が()()()()()ってのは分かるんだけんどもよ。考える力を持たない人間って、結局役に立たんと思うんよね。いや、その組織の仕組み仕組みで、その辺、変わるんだろうけどさぁ。


 少なくとも、俺は自分で判断できない輩は要らん。


 それは兎も角、今の所、後手後手だなぁ。最悪、市民が全員敵に回るってぇ展開もあり得るのか。きっついな。

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