乗り切ったとです
「問題とか無いよ~。懐かれ過ぎてるだけだし」
「何故、そんな不貞腐れてるような物言いをするかね」
「ぷ~ん!」
嫉妬とも違うっポイんだが。何だこれ? まぁ、後でまた【プラーナ】をくれてやっておこう。物で釣ってるみたいで何だが。
まぁ、兎も角、【念話】でサイレンと会話したラミアーの弁によれば、ちゃんとサイレンは俺の事を認識できてるらしい。ってか、頭摺り寄せて来てるにも拘らず認識できてなかったら、もはやどう言う事? ってな感じだが。
再び頭を擦り付けて来たサイレンの顎下をカリカリとやってやると、目を細めて『キキキキッ』っと声を漏らす。
なぜかジットリとした目で見て来るラミアーから視線を外すと、宰相さんに声を掛ける。
「何か、大丈夫だって話だわ」
「は、はぁ、まさか魔物と意思疎通できるとは、流石は光神の神子様と言った所でしょうか」
「す、凄いですね!! やっぱり、それらも【加護】なのですか!?」
戸惑った様子の宰相さんと、純粋に驚いて見せる国王君。いや、意思疎通も何も、ラミアーも魔物なんだが? ぱっと見分からんだろうけど。
そしてこの中で【加護】を貰ってる奴など一人も居ない。
『そのくらい、あたしにもできたよぉ』
まぁ、出来ないとも思えんかったが、ラミアーはそもそも【超能力者】だから、俺の常識として出来そうだよなって真っ先に思っちまったんだよ。
いや、【超能力者】だから魔物と話せるってのも酷い偏見な気もするし、よくよく考えれば何の根拠もないんだけんども。そもそもラミアー魔物だし。
まぁ、兎に角、これで問題が無いってんなら、大丈夫かね。俺が後ろ盾になるって話も含めて。
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「トール様、今回はご足労頂きありがとうございました」
王城からの帰り道、同乗したキャンピングカーの中で、スーリヤにそう言われ頭を下げられた。
因みに御者はファティマがやってくれている。
「いや、そもそも、魔族の暗躍止めようってのが、俺の頼み事な訳なんだし、むしろお願いしてるのはこっちなんだから、ご足労とか思わんで良いよ?」
何なら、こっちがお礼を言わんとあかん立場な訳だし。
まぁ、途中色々とあったが、話自体はうまく言って良かったよかった。俺とスーリヤ以外は、こっちの話し合いの間、基本、宛がわれた部屋に居た訳だが、まぁ、結構よい待遇で過ごしてたらしいし、その辺は良かった。
まぁ、途中でラミアーやらセフィがこっちに来ちまったりしたが、それでも話し合いとしちゃ、穏当に終わったと言って良いだろうさ。
『みんなでいくひつようなかったよねぇ』
それは俺も思ったわ。




