話は戻る
「てな訳で、魔族の暗躍があるらしいんで、それを防ぎたいんよ」
ここに来て裏事情を秘密にしとくのも何なんで、情報の共有をした訳だ。 仮にも相手は一国の主なんだし。
「ならば!! 獣人以外を排除しようとする貴族連中は国家反逆罪で!!」
「止めなはれ」
その件さっきもやったよね? いや、もう、宰相さんの鼻息が荒い荒い。てか、何気にこの人も侍女さんと同系統か? それよりも発言もさせて貰えない国王君が、そろそろ可哀そうだと思うんじゃが?
今も、何か言いたそうに俺の事見てるし。
「……ハルンバルト陛下は、何か質問などは?」
「ト、トール様は、ドラゴンを倒されたのですよね!!」
「え? はい」
ええー、聞きたい事ってそっちなのかよ。これはあれか? 王様幼過ぎて実務は無理だから、宰相さん辺りが代理で政務を担ってる的な。
確かに成人はしてなかった筈だけど、だとしても年齢に比べ、一寸、幼過ぎやしねぇか?
「……トール殿、実は今の陛下は先王のお孫さんで……」
「うん? もしかして、先王の実子は早逝してとかそんな感じ?」
コクリとスーリヤが頷く。
本来は王太子が居たけど、何らかの理由で亡くなり、その子供……先王の孫はまだ幼いからそのまま王を続けていたけど、それでも寄る年波には勝てずにってぇ所か?
王太子が居たんで、王孫の教育はそれ程急いでいなかったけど、それが裏目ったってぇ事なのかな?
さて、どうしたもんかねぇ。実務って意味じゃ、多分宰相さんと話をした方が良いんだろうけど、国王君が見た目も中身も、まんまなお子様だったら、無視して宰相さんと話してたら、多分、ヘソ曲げそうなんよね。なんちゅうか、この国王君の言葉とか態度とかの端々から、甘やかされて育ちましたオーラが見え隠れしてるし。
それでも純真で純情な雰囲気な辺り、どっかの公爵子息よりかはマシなんだけんどもよ。
「では!! ドラゴンを倒した時のお話を!!」
「陛下!!」
国王君の場を読まなさ過ぎる言葉に、宰相さんの叱責が飛ぶ。国王君、その事が不満とばかりに頬を膨らませた。いや、ロシアンブルーがそんな表情しても可愛いだけなんだが?
「だって、何か難しそうなお話ばかりしてて退屈なんです」
「陛下!!」
再び叱責され、さらに頬を膨らませるロシアンブルー王。だからそれは可愛いだけだと。
「すみませんトール様。この通り、我らが国王陛下は、まだまだ精神的にも幼く……」
「いや、それはそれで構わないけどさ、こっちは、なるべく穏便に事態を収拾出来れば良いだけだし」
俺がそう言うと、宰相さん、大きく息を吐いた。
「その為にも、トール様には国王陛下の後見人と成って頂きたいのです」
え? ここでそこに繋がるの!?




