Re:Start
【闘神】には、かの神に纏わる神話と言う物が存在するらしい。いや、まぁ、当たり前なんだろうけんどもよ。あ、いや、そう言や、前世には謂れとか存在しない神様とか居たなぁ。
まぁ、それはそれとして、【闘神】様にゃぁ、有るんだわ。神話。
その一つに、戦う時に灼熱のオーラを放つ黒い鎧を着込んでるってのが有るんだと。
まぁ、魔力装甲の事だろうな。俺の中で【闘神】=過去の【プラーナ使い】って仮説が補強されたわ。
それはそれとして、宰相さんの方はそれ何処じゃなかったらしい。何せ、神話では聞いていた、闘神の黒鎧が目の前で動いてる訳だからなぁ。
一時はカタリだと思ってたし、ハメられたかとも思ったらしいんで、その落差たるや。
『偽物だと思ってチョーシこいたら本物だったでござる』宰相さんの心情を端的に表したらこんな感じか?
「トール様におかれましては、幾多の誤解の元、ご迷惑をおかけした事を謝罪いたしたく存じ……」
「……うん。その件既に10回以上繰り返してるから」
恐らくは【闘神】さんと同じ様な能力は有してるんだろうとは思うんよ。同じ【プラーナ使い】だろうし。
ジャンヌ曰く【プラーナ使い】ってのは珍しい存在だって話だからなぁ。俺が話を聞いてるだけではその【闘神】さんと【皇国の初代】さん位しか知らんし。もしかすれば、在野にはもう一寸居たんかもしれんが、有名どころはその二人だけっぽい。
そう考えると。所謂神々ってのは、英雄やら何やらの神格化された姿なのかもしれんな。
なんで……
「出来る限りの事は致しましょう。獣人以外を排除しよう等と言う不心得者は、即刻国家反逆罪として捕え……」
「……うん。止めたげて」
多分、普通に同じ【ユニークスキル使い】だったであろう【闘神】と俺とを同一視して、【化身】等と思うのも分からんでもないんだが、こう言う扱いは止めて貰いたい所なんだわ。ただの人間だし俺。
「しかし、神の考えを否定しよう等と言うのは、不敬では?」
「考えの多様性こそが文化を進めるんよ」
「成程! このセバスティアン・オーコック、【闘神】様の寛大さと深い思慮に、感服仕りました!!」
つうか、セバスティアンって言うのか、この熊宰相。何か、執事でもしてそうな名前だぁね。
てか、キャラ変わり過ぎじゃね? ロシアンブルー王、目を丸くしてるじゃんね。『こんなセバスティアン初めて見た!』って心の声が聞こえて来るようだわ。
場所を移しての謁見再開なんだが、今度は割とこじんまりとした感じの10畳程の部屋。段差も低くて、国王さんは、そこに設えられている玉座に座っている。
俺達の方は俺とスーリヤのみ。セフィは帰って貰った。だって、アイツ居たって話し合いのクソ役にも立たんし。
でも、まぁ、これでようやっと話し合いの舞台は整ったかな?




