結構意外じゃなかった
襲撃が、果たして俺達を狙っての事なのか、それともスーリヤ達も含めて狙われてるのかによって今後の動きが変わってくるな。
と言っても、取り敢えず、侍女さん達も護衛騎士の皆さんも、一人では行動しないでくださいね、と。
「政治的根回しが上手く行かない場合に、直接的手段に出る事など、良くあることですので」
俺が言うまでもなく、彼女達は常にツーマンセルで動いていたらしい。
「え? そんなに良くある手段なの?」
ニッコリと無言の笑顔が怖いですよスーリヤさん。
「けど、戦略的には、こっちのが不利なんだろう?」
「いえ、先日、国王様をこちらサイドに引き入れる事に成功いたしましたのです!! 神子様!!」
「神子は止めれ。って、マジで!?」
「マジですとも!!」
俺の問いに答えたのはイネスさん。ドヤ顔で胸を張ってるけど、多分アンタが説得した訳じゃないよね?
そう思ってスーリヤに視線を送ると、『彼女がやりました』って肯定するかの様ににコクリと頷かれる。
「え!? 本当にイネスさんが説得したの!!」
「……元々、暴走癖さえ目をつぶれば、優秀なのです……」
溜め息を吐きながらスーリヤがそう言った。いや、マジで? ……あーうん、まぁ、優秀でなければ聖女様の教育係とか出来ないよな。それも、信奉してる神様が違うっぽいにも関わらず。
しかし、マジでか。大凡、俺達が残念なシーンしか見てないからかもしれんが、そんなに優秀ってイメージが無いんよね。
「ハゲドウ」
『【肯定】正直、ただの典型的偏見貴族だと思っていました』
『【反論】でも、面白オバちゃんデス!』
俺達の会話の意味が分からないのかイブとティネッツエちゃんが首を傾げる。まぁ、念話で話してるからなぁ。
けど、言葉のニュアンスは理解できているのか、会話の主語が、イネスさんだって事は理解できて要るっぽく、彼女の方に視線を動かした。細部が伝わらないとは言え、やっぱり俺の考えてる事なんざ、読まれてるみたいだわ。家の家族には。
それはそれとして、ただまぁ、そこに居るのはドヤ顔のヨークシャーテリア。増々理解が出来なくなった様で、首をさらに傾げる羽目になったっぽいがね。
話を端から理解する気の無いバラキが『かまえ!』とばかりに体を擦り付けて来るんで大人しくして貰う為に首筋をワシャる。
「ああ、だから仕掛けて来たって所か?」
「可能性は否定しきれませんが、情報が伝わるのが早すぎるかと」
そう言ってスーリヤが首を捻るが、それに関しちゃ相手にオンディーヌが居るからなぁ。水の関わる場所になら出現出来るって、チート過ぎんだろ。今更ながら。




