うん、知ってる知ってる
市民のソレは、結局、自身のメリットとかデメリットよりも、空気感でその意見が変わって来るんよね。つまりは、『誰々がこう言ってるから』とか、『あの人がそう言っているんで』とか、『みんな、こう言う意見だから』とか、そんな周囲の雰囲気でどうとでも変わるってぇ事だな。
実際、有名な冒険者であるヴォルフガングが、冒険者連中束ねて活動してるから、『彼が言うなら』って部分があるのも確かだろうし、その上で、こう言う噂話的な事を流布させるの何かは、オンディーヌの領域な訳だから、その相乗効果も有るんだろう。
今回は、直接王都に行ってないんで、報告されてんのを聞いてるだけなんだが、向こうだと、結構獣人以外の人間に対して、微妙な目を向けてる市民も増えてるってぇ話なんだわ。
前に俺が行った時は、そんなでも無かったのになぁ。
確かに国の舵取りは、国王なり貴族なりがやってるんだろうが、だからと言って、市民感情を蔑ろにするのも不味いんよな。数は暴力なんだよ兄さん。兄さん?
『【進言】食料自給率的には、獣人の王国だけでは足りてないようなので、貿易をしないと言う手段に出る事は無い筈です』
熱帯地方と言う事なら、大規模な農場を作る事もできるんだろうけど、果たして獣人的に、それが合っているのかはまた別だろうさね。
『力至上主義』っぽい……いや、ぽいってだけで例外多そうだけど、ここの現国王とか。いや、例外は置いておこう。
まぁ、そう言った主義主張の民族が、大人しく作物育ててってぇイメージが湧かんのよね。偏見かも知れんが。
『【肯定】実際、酪農家の方が多いようです』
「さよけ」
『【追加】そして育ててる作物は芋系が多いのデス』
荒地でも育つイメージが有るからなぁ。もしかして植えた後放置してる感じ?
『【肯定】イエス! デェス!!』
なんだろうイメージ通り過ぎて二の句が継げない。ってか、よく外交とか出来てるな。何か裏読むのとか苦手そうなんだが。
「そのゴーレム達は、この国の事情にも詳しいのですね」
俺達の会話を聞き、スーリヤがそんな風に言う。いや、多分、聖武器’Sのソースはルールールーの一族からの報告なんだろうけどな。
噂話を調べるついでに、色々と獣人の王国についても調べてたっぽいし。でなければ、こんなに近年の事について詳しくは知らんだろう。
その割には、俺の方にまで報告書が上がってきてねぇんだが?
『【説明】そ、それは、私達が、覚えているので必要ないと思いまして……』
『【肯定】生体ディクショナリーと言うやつデス!!』
ディクショナリーは良いけど、俺にも情報は知らせてくれ。知ってると知らないのとでは、天と地ほどの違いがあるんだからさ。




