邪神と魔族
今回はここまでで力尽きました。
短くて申し訳ありません。
目に見えて活動してるのがヴォルフガングと言うだけで、恐らくその根は獣人の王国に深く張っているんだろうとは思っていたが、予想以上だったわ。
枢機卿って事は教皇をぬかせば、宗教で最上位って言える地位にいる連中だろ? 一応、顧問団の1人な筈だ。そいつらが獣人以外の排斥を謳ってるってのなら、その一派は既に掌握済みってぇ事に成るんじゃねぇのか?
「いえ、直接排斥しろと言っている訳ではなく、人種に考慮した教会の運営の為に、種族毎に人員を纏めてはどうかと……」
「そんで、獣人以外は僻地に飛ばす、と」
「いえ、そこまで露骨には……」
でも、似たような事は言ってる訳だな。てか、魔族の魔の手がその正反対と言える宗教にここまで影響を与えてるって、結構な問題じゃねぇのか? そうでもないのか。
魔族だって、【邪神】から加護を得てる存在だって考えれば、『神を信仰してる』と言えん事もない。そもそも、改教すると魔族から魔人族に成るってんなら、そもそもが宗教的な訳だし。
全くの個人で【邪神】を信仰してるのが魔族ってぇ連中だとすれば、他の宗教にちょっかい掛けるのも分からんでもない。のか?
もっとも、今回、その魔族が“誰”なのか分からんのだが。
取り敢えず、オンディーヌを良い様に使ってるってぇ事だけは判明してる訳だが、そもそも、獣人の王国を鎖国させて、何をしようとしてるのが不明って時点で、相手の勝利条件が分からんのだから、対処療法で片付けて行くしかないんよね。
「先ずは、その枢機卿の周辺の調査かね」
「それならば任せてくださいませ!! オーサキ伯様!!」
俺の呟き声に反応した相手に、思わずびくりと肩を震わせる。いや一寸待て!! 何で中に居る? 侍女さんよぉ! さっきまでドア挟んでの攻防してたんじゃねぇの!?
「わたくし、侍女でございますので」
「何の回答にもなってない答え有り難う」
「いえいえ、お褒めの言葉など……」
いや、当てこすりのつもりだったんだが!?




