日常に戻れ
横槍入れに行くにしたって、行動の指針は必要だし、その為には情報収集が必須。ルールールーに頼んで、一族から信頼できる人員を確保した上での情報集めをして貰う事にした。
その為の“扉”は限定的に開放。本当は管理を任せちまった方が良いんだろうけんども、家の領の要にもなっている古代遺跡を外部の人間に丸投げできる程、肝っ玉は太くないのよ俺。
ルールールーの事はそれなりに信頼を置いちゃいるが、ルーガルー翁を完全に信じ切るって事はまず無理。あのジジイ、『故有らば裏切る』事の出来るタイプだし。
そんな感じで情報収集に勤しんで貰ってる間に、こっちは領主のお仕事を進める事に。簡単な指示はしておいたんで、俺が居なくてもそれなりに事務仕事を処理しては貰ってたけど、それでも決済が必要な書類が結構溜まってたんよね。
「トール、様、お茶」
「有り難う」
イブの入れてくれたお茶を飲みながら、一息を吐く。執務机に山に成っている書類を眺めながら溜め息を吐いた。
「よくよく考えたら、これ、6才児の仕事量じゃねぇよな」
『【苦笑】それ以前に6才児はこんな事務仕事はしないと思うデス』
『【満足】それもこれも、マスターの能力の高さ故でしょう』
よいしょはいらん、人手をくれ。特に書類処理能力の高い文官肌の!!
あちこち手を尽くして文官探して貰ってるのに、来るのが殆ど武官ってどういう状態よ!!
「類とも~」
「よし、ちょっと黙ろうかラミアー」
いつもの様にソファーでゴロゴロして、軽口を叩くラミアーを睨む。
確かに俺も頭脳派ってよりは武闘派だけんどもよ。募集かけてる人材と真逆の人間が集結する状況って流石に可笑しいと思うの。
おかげさまで、家の領の騎士のレベルは高いんだけんどもよ。何せA級冒険者殿とかが、訓練してくれている訳だし。自主的に。
ボランティアではさせて無いよ。お礼は俺との模擬戦だけんども。
これもこっちの得にしか成らん様な気もするが、金銭は要らんとか言うからさぁ。その辺は流石のA級冒険者。お金には困ってないらしい。
いや、アイツ、基本、人間と同じ様な食事とかはしないし、むしろ家の騎士しごいてる間が食事の時間とも言えるし、住居も一室貸してるから、そっちの料金もかかってない訳だし、装備なんかは自前らしいからそっちの経費も掛かってないっぽいんよね。
そりゃ、金も貯まる一方だろうさ。
そんな訳で、バフォメットとは時間が合えば模擬戦をしている訳だが、色々制限してる筈なのに強えぇわ、アイツ。伊達じゃねぇやね魔族。俺も、もうちょっと訓練重ねんとなぁ。
もしもって、場合もあるし、対抗できる、いや、向こうを圧倒できるだけの力をつけんと何も守れんわ。
何を向こうに回しても守り切れる力、つけんとな。
それはそれとして、マジで文官来てくれんかね? もしくは領主代理を務められるだけの人材。
『【嘆息】後の方が要求が高くなっているのですが?』
うん。そうだね。




