教えて! ルールールー先生!!
ルールールーに確認してもらった所、獣人の王国の冒険者ギルドは、やっぱり例の冒険者……あれ、なんて言ったっけ?
ヴォル何とか……ヴォル……ヴォル……ヴォルデモ……
『【進言】!! 個体名【ヴォルフガング】だったと記憶しています! マスター!!』
「そう、それ!」
ヴォルフガング、ヴォルフガング。良かった思い出した。
力の信奉者って意味なら、巨人族と変わらないんだが、巨人族はそれでも『力さえ有れば何しても良い』って考え方じゃぁ無いからな。
尊敬はしても、服従はしないと言うか。
そう言う意味では、獣人の王国の冒険者ギルドのアレは、『力の奴隷』と言って良いと思うんよ。
『【納得】言い得て妙デス!』
「だよな?」
で、獣人の王国の冒険者ギルドに蔓延している噂ってのが、“俺”ってぇ人間がドラゴンスレイヤーをしたらしいって言う噂のある冒険者で、『赤銅のゴブリンライダー』と関わりのある人間だって事らしい。
いや、まぁ、それ全部本当の事なんだけんどもよ。中々にイヤらしい匂わせ方しやがるな。確かにドラゴンスレイヤーはしたが、それを確認できるのってのは、結局当人と、関わった人間だけだ。だから、吹かしだと言われても、ドラゴンスレイヤーを証明する様な物なんざ何処にも無い。
それこそ、こっちの国でだって、一緒に居たA級冒険者の功績を譲られたって思ってた連中も居た位だしな。
だからこそ、この『ドラゴンスレイヤーをしたらしいって言う噂のある冒険者』って言い方がイヤらしい。言外に『真偽の程は分からない』って事を含んでいる言い回しだからだ。
そして次の『『赤銅のゴブリンライダー』と関わりのある人間』も、そういう匂わせ方をしている。
確かに『赤銅のゴブリンライダー』の元は、俺だったし、その噂を隠れ蓑にしていたヴィロウズは、俺が捕まえた。そういう意味では、関わりのある人間だって事は確かなんだが、この言い回しだと、その犯罪を犯していた連中とツーカーだったり、便宜を図ってたってぇ意味にも取られかねん言い方なんよね。
つまり、事実では有るが、誤解をさせる言い回しってヤツだ。
この辺りは流石は魔族って所か? いや、そこまで言う程の事でもないか? まぁ、良いか。
さてさて、それで、そのヴォルデ……
『【進言】!! 個体名【ヴォルフガング】です。マスター!!』
うん、それ。
そいつが俺に対して悪感情を向けてた理由が、その『赤銅のゴブリンライダー』だった訳だな。
彼奴って、公都内で……いや、公都以外でも活動してたらしいんだが、メインでやっていた犯罪って、子供攫って余所へ奴隷として売り飛ばしてたってヤツじゃん?
それって、獣人の子供も被害に遭ってたらしいんだよね。人間の子供でも、愛玩用に買っていた貴族とか居たらしいんだけんども、その割合的には獣人の子供の数はその比ではなかったらしいんよ。つまりは、それだけ被害者の数も、な。
で、そのヴォル……何だっけ? キャンサー?
『【進言】個体名【ヴォルフガング】です。マスター』
そう、そいつ。の、身内も被害にあってて、まぁ、売られる直前で救出して、出品してた闇オークションは壊滅させたらしいんだが、その流れで、『赤銅のゴブリンライダー』絶対殺すマンに成ったっぽいのよ。いや、俺は殺されてないけどな。
まぁ、残党を見つければ始末すると言うかね。その兼ね合いもあって、あちこちから情報を集めてるらしいんだが、まぁ、その情報網に“俺”と言う情報が飛び込んできた。と言う訳だ。
ただ、時間がなさ過ぎて、その裏までが完全に取れんかったんで、ああいう態度に成った、と。
ってもなぁ、人伝に聞いた情報だけだと精度はあまり出ないだろうし、多分、黒幕とやらは介入してくるだろうから、対立してくる様な立ち回りに成る感じに手を打たれそうなんだよなぁ。
まぁ、それはそれで、やり様は幾らでも有るけど。




